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沈黙と雌伏

 

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アメリカの大統領選挙がなかなか決着しませんが、現職大統領が開票作業の差止めを求めるなどという事態になるに至っては、一体何のための選挙だったのかと考えさせられます。
選挙というより政治ショーのようです。

それはさておき、ヨーロッパは今、新型コロナウイルス感染症の再拡大が急速に進んでおり、緊急対策としての都市封鎖をせざるを得ない事態にまで至っています。
そんな国のひとつ、ドイツでは11月2日から1か月間、部分的な外出制限や営業制限が実施されています。
首都ベルリンも例外ではなく、世界的に有名なベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地、フィルハーモニーも閉鎖となりました。

ロックダウンを控えた10月31日、ベルリン・フィルはその日のプログラムに、ある作品を追加したそうです。
作品の名前は「4‘33″」(4分33秒)。
アメリカの作曲家ジョン・ケージの代表作です。

3つの楽章で構成されるこの作品には、一切の音がありません。
ステージ上の演奏家は、一切音を立てない「演奏」をするのです。
静寂のみによって構成されるこの作品が、ロックダウン前の演目として選ばれた意味を考えさせられます。

静寂の中では、自然と「耳を澄ます」ことに集中します。

自分の鼓動
人の息づかい
風が揺らす木々の葉ずれ
梢をわたる鳥の声
暮らしの中の生活音
都市封鎖によって人影の消えた街の森閑
コロナ禍を乗り越えた先を予感させる胎動

静寂に耐えられず、沈黙を破ろうとする人には、どれも聞こえない音かも知れません。
みなさんにはどんな音が聞こえてきますか。

当日の演奏の映像がありましたので、ご紹介しておきます。
演奏時間は4分33秒より短いようです。

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