弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

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迫る改元

 

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裁判所では受理した事件(案件)ごとに「事件番号」といわれる固有の番号を振って事件管理をしています。例えば、地方裁判所の通常民事事件(第1審)の場合であれば、

平成31年(ワ)第12345号

というような具合です。
来週月曜日、4月1日には新しい元号が公表されることになっていますから、裁判所も5月以降に受理する事件については、

(新元号)元年(ワ)第XXXXXX号

という番号を間違いなく振れるように準備をすることになるのでしょう。

この場合の数字部分は、平成31年の最後の番号から引き続いた番号になるのでしょうね。そうでないと、同じ年を表す「平成31年」と「新元号元年」とで番号が重複してしまいます。
我が事務所の半分くらいの弁護士は、昭和から平成への改元をまたいで仕事をしてきたので、前の改元の時どうだったかを知っているはずですが、どうなんでしょうか。


裁判所では和暦、つまり元号を使った年表記が一般的なのですが、その裁判所に書類を提出することが多い弁護士はというと、必ずしも和暦で統一しているということはありません。西暦で表記している例や、和暦と西暦を併記している例も多く見かけます。
かくいう私(筆者)も、できるだけ西暦と和暦を併記するようにしています。
理由は簡単。
読むときに一々換算しなくてよいからです。

依頼者の中には、普段の生活の中で主に和暦を用いている方も、あるいは西暦で考えている方も、どちらもいらっしゃいます。中には「今年は昭和でいうと94年」なんていう、昭和主義の方もいらっしゃったりします。
さすがに昭和換算が必要になることは少ないのですが、西暦と和暦を併記しておけば、多くの方にはどちらかの年表記で理解してもらえます。

実のところ一番困るのは、「西暦の下2桁」が使われる場合です。

17年3月27日の出来事なんですが・・・

なんて言われると、まさか1917年ではないとしても、平成17年なのか、2017年なのか、文脈からは分からないこともあります。
改元された後には、西暦か平成か新元号か迷うこともあるかも知れません。
平成の倍以上も続いた昭和の頃にはなかった悩みです。
西暦を使うなら、省略せずに4桁全部書いて(話して)ほしいものです。


もうひとつ、昭和の頃にはなかった悩みは、何といってもコンピューターの普及です。
パーソナルコンピューターやスマートフォンが普及した現在は、年表記を読むのは人間だけではなく、それ以上に機械が読むということを考えなければいけません。
人間が目で見て頭で判断するだけならば、表記にゆらぎがあっても対応できますが、機械は基本的に「杓子定規」ですから、コンピューターで処理するための年表記は多義性のないものが便利です。
年の途中で変わってしまうことがある元号は、その意味で不利といわざるをえません。西暦で処理し、必要に応じて和暦に変換して表示する方が合理的です。
和暦の伝統が、とか、キリスト教の暦なんて、とか、そういった感情まで機械に処理させるのは大変ですからね。何なら仏暦とかヒジュラ暦(イスラム暦)の立場はどうなる、なんて。
何しろ、西暦の国で開発されたシステムなのですからやむを得ません。


ここまでお読みいただいた皆さんには、コンピューターのファイル名に「190327陳述書」というような西暦下2桁・全角の年表記が用いられているのを見かけたりすると、クラクラしてくるこの気持ちをご理解いただけますでしょうか。

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