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枯れ尾花

 

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今週の月曜日、13歳の女子中学生が警察に補導されたというニュースが流れました。
この女の子が何をしたのかというと、インターネットの掲示板に、不正なプログラムのアドレスを書き込んだ疑いが持たれているというのです。

これだけを聞くと、「コンピューターウイルスを蔓延させようとした、たちの悪い犯罪行為じゃないか。子供だからって甘やかすな!」なんて声が聞こえてきそうです。

ちなみに、同じアドレスを別の掲示板に書き込んでいた、39歳と47歳の男性も捜索の対象となり、今後書類送検される見通しと報じられました。

どんな「不正なプログラム」なのかと思うと、

クリックすると、画面の真ん中に「何回閉じても無駄ですよ~」という文字や、顔文字などが表示され続けるよう設定されている

というものだそうですが、何のことはない、ブラウザを閉じればそれ以上は何も起こらないという、せいぜい「びっくり箱」程度のものでした。

Javascriptというプログラム言語で、簡単に作れるというので、ためしに再現してみました。
プログラムの書き方はネットで検索すればすぐに見つかります。
「プログラム言語」なんて言うと難しそうに聞こえますが、一定のルールに従って、コンピューター上の処理を進める指示書で、一般的なワープロソフトでも作れます。
もっとも、公開すると捜査の対象となりそうなので、ここには公開しませんよ。

再現してみて分かったことは、「不正なプログラム」って言うほどのものではないこと、有害性はほとんどないこと、まして、その仕掛けがあるサイトのアドレスを書き込んだなんてのは、文字通り子供のいたずら程度の話だということです。

何かにたとえるならば、うその道しるべを立てて1分くらい遠回りさせた、というようなものです。
落とし穴とか断崖絶壁に誘導したのとは全く違います。

それにもかかわらず、女子中学生を補導したり、自宅を捜索したりという大げさな事態になっているのは、「プログラム」の正体が分からない警察が過剰反応したとしか考えられません。

幽霊の正体見たり枯れ尾花

を地で行く滑稽な話ですが、補導された中学生や家宅捜索を受けた男性にとってはたまったものではありません。
来年から小学校でのプログラミング教育を必修化するという時代に、警察は何をしているのか、と思わざるを得ません。

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