弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

東京中央法律事務所の公式ブログです

*

地下倉庫に眠る

 

この記事は約 2 分で読めます。

昨日のニュースですが、「働き方改革」法案に関連して、裁量労働制を巡る不適切なデータ処理が問題となっていますが、厚生労働大臣が「なくなった」と国会で答弁していた資料が、厚生労働省の地下倉庫から見つかって、中には少なくとも117件の不適切なデータが含まれていたのだそうです。

不適切なデータに基づいて国会審議が行われていたとなると、一からやり直しになって当然かと思いますが、すんなりとそうならないのは、データなんてどうでもいいと政府・与党が考えているからなのかも知れません。そんな無茶な話があるでしょうか。

それはさておき、どうも厚生労働省の地下倉庫というのは魔窟になっているようで、今回の資料ばかりか、薬害エイズ事件の時に、非加熱製剤の危険性に関する資料が見つかったのは厚労省の地下倉庫ではなかったでしょうか。

また、第1次安倍政権の下で問題となった「消えた年金記録」問題の時も、約5千万件の未処理記録が見つかって大騒ぎとなりましたが、当時の社会保険庁は厚生労働省の建物の中にありましたから、あれも厚労省の地下倉庫に眠っていたのではないかと思います。

霞が関の地下は、一体どういうことになっているのでしょう。
財務省の地下倉庫には、国有地の売却に関する資料が今もあるかも知れませんし1 、検察庁の地下には、冤罪事件に関する開示されない証拠が隠されているのかも知れません。

こんなものが表沙汰になったら大騒ぎになる。
だから公表しないことで世の中の平穏を保っているんだ。

という使命感をもって地下倉庫を守っている役人がいるとしたら、それこそ確信犯2 的ですね。


1.倉庫に移すことを「廃棄」と呼んでいるなんてことはないでしょうか。
2.確信犯は、正しいと信じて悪いことをすること。悪いことだと分かっていながら悪いことをするのは、確信犯ではなくて、故意犯と言います。

 - 社会 ,

  関連記事

改むるに憚ること勿れ

Google Earth(グーグルアース)で千駄ヶ谷駅の南側あたりを見たところ、 …

わきまえない

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の、日 …

反社の定義

昨日のニュースですが、政府が「反社会的勢力」の定義について「その時々の社会情勢に …

レガシーの活用

参院選の終盤、安倍元首相が凶弾に倒れるという衝撃的なニュースが飛び込んできてから …

暴走列車の行く先

5月末までとされていた緊急事態宣言は、結局6月20日まで約3週間延長されることに …

批判は失敬?

昨日の衆議院予算委員会で、こんなやりとりがありました。 小川淳也衆議院議員(立憲 …

特殊詐欺と弁護士

Wikipediaによれば、「オレオレ詐欺」の最初の検挙事犯は2003年のことだ …

刑事手続原則と一般国民感情

 ここ最近ネットやワイドショーを賑わせている話題の一つに、東名高速路上でワゴン車 …

舞台裏

最近、色々な舞台裏が見えてしまうことが続いていますね。 フジテレビと産経新聞社の …

目的も違うし必要性もない

 はやりのゲーム機を欲しがる子供が、「みんな(そのゲーム機を)持ってるから、持っ …