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生活保護減額 国に賠償命令

 

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11月30日、国が2013年から生活保護基準を引き下げたのは生活保護法違反であるとして生活保護利用者が国や福祉事務所を訴えた裁判で、名古屋高裁は原告側逆転勝訴の判決を言い渡しました。

同種裁判は30の裁判所で起こされており、このうち、既に22件で判決があり、原告である生活保護利用者側の12勝10敗となっていますが、2022年5月に熊本地裁で原告が勝訴してからは、13勝2敗と原告側が圧倒しています。

今回の判決で特筆すべきことは、裁判所が生活保護基準減額の処分の取消しのみならず、国に賠償を命じた点です。
一般に、減額処分が取り消されれば、それによって被害は回復されたものとみなされて、賠償請求までは認められないことがほとんどです。ところが、この度の名古屋高裁判決は、違法な減額決定を行ったことについて「厚生労働大臣には少なくとも重大な過失がある」とした上で、生活保護基準が引き下げられて以降、原告らが「さらに余裕のない生活を強いられ、精神的苦痛を受けた」として、国に賠償を命じました。
極めて異例の判決といえるでしょう。

そもそも、この裁判で問題となっている生活保護基準の引下げは、当時、野党であった自民党が生活保護バッシングを煽りながら、「生活保護費10パーセントカット」を公約にして選挙に勝利して、政権に復帰したためなされたものです。
本来、生活保護基準の設定、改定は統計等の客観的数値に基づいて決定されなければ、なりませんが、厚生労働省は、自民党の政権公約と辻褄を合わせるように、統計等の操作をした上で、引下げを強行したでした。
極めて恣意性、政治性の強い、違憲・違法な行為ですが、この度の判決は、ようやく裁判所が安倍政権による憲法無視、生活保護法無視の実態を正面から捉えて、国に賠償まで命じたものといえます。

生活保護基準が引き下げられてから既に10年を経過しており、その間に亡くなった原告もいます。原告・弁護団は、国に対して上告を断念し、直ちに2013年の引下げ前の生活保護基準に戻すことを求めています。

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