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一日も早い水俣病被害者救済を

 

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不知火海

9月27日、大阪地裁で水俣病訴訟の判決がありました。

水俣病って、まだ裁判やってるの?

と思われた方も少なくないかも知れません。
水俣病が公式確認されたのが1956(昭和31)年5月1日、熊本地裁に水俣病第1次訴訟が提訴されたのが1969(昭和44)年で、1995(平成7)年には村山内閣の下でいわゆる政治決着がなされましたが、水俣病被害者救済特別措置法(特措法)は水俣病の認定基準を限定的に捉えていたため、水俣病の症状が現れている患者でも救済対象にならない事態が続出していました。
そこで新たに提訴されたのがノーモア・ミナマタ訴訟で、先日の大阪地裁判決は第2次ノーモア・ミナマタ訴訟になります。
まだ水俣病訴訟は終わっていないのです。

今回の大阪地裁判決は、特措法の基準に該当しなくとも、汚染された魚介類を継続的に食べ、神経障害などの症状が診断されている患者について水俣病と認定し、国、熊本県、原因企業であるチッソに賠償を命じ、原告全員の救済をしました。

特措法のように、広く救済を行うための法律は、救済範囲がどこまで広がるのか必ずしも見通せないので、認定基準を狭く設定されることがあります。予算措置も必要なため、傾向としてそのようになることは分からなくもありません。
しかし、その結果、本来救済されるべき患者=被害者が対象から漏れてしまうこともまた、同時に想定されていなければいけません。そうした制度の不備はその都度修正していけばよいわけです。
一般的に言って、国はこうした見直しには消極的であることが多く、一度定めた法律や制度、その運用を変更するのは、法的安定性を損なうというような主張をされることがあります。
しかし、これを改めるように命じたのが今回の判決であり、見直しのきっかけにすることが国には求められています。原因企業だけでなく、適切な規制権限を行使しなかった国や県にも賠償命令が出ていることは重要です。地裁判決に過ぎないから、上級審の判断を仰ぎたいなどと言っている場合ではありません。国民の救済に消極的である国は、その存在価値が問われると言っても過言ではないでしょう。

 

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