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オスプレイ墜落

 

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昨日、屋久島沖で在日米軍横田基地所属の軍用機オスプレイが墜落したとのニュースが飛び込んできました。

在日米軍基地に配備されているオスプレイには2種類あって、ひとつはMV-22という海兵隊仕様のもの、もう1つはCV-22という空軍の特殊作戦部隊仕様のものです。
開発当初から高い事故率が指摘されてきたオスプレイですが、その中でもCV-22の方が事故率が高いのは、特殊作戦という使用目的ゆえのもので、山間部における夜間低空飛行など難易度の高い訓練などに用いられるためだと説明されてきました。通常飛行する限りにおいては、MV-22もCV-22も違いはなく、機体の改善とパイロットの習熟によって事故率も低下するというのです。
ちなみに、東京・横田基地に配備されているオスプレイはいずれもCV-22です。
今回の墜落したオスプレイもCV-22ということになります。

日本国内では、2016(平成28)年12月に沖縄・名護沖で夜間空中給油訓練中のMV-22が浅瀬に墜落する事故が発生しました。給油機から伸びたホースがオスプレイのローター(回転部分)に当たり、回転翼が破損して墜落に至ったという、ちょっと聞くとなかなかにお粗末な事故ですが、悪天候の中、夜間に行われた訓練であることを考えると、かなり危険な訓練であったことが窺われます。
この時には、機体が大破するような事故であったにもかかわらず、米軍や防衛省は「墜落」ではなく「不時着水」という用語で説明したことが当時話題となりました。

昨年6月には、アメリカ本土で訓練中のMV-22が墜落する事故があり、この時にはエンジンとプロペラをつなぐクラッチの不具合による事故であることが判明し、アメリカ本土だけでなく、在日米軍を含むオスプレイ全機の飛行を一時停止する事態にまで発展しました。しかし、部品交換などの対策だけで、ほどなく運用が再開されていました。

そうした中での今回の墜落事故は、死者が出たオスプレイの事故としては国内最初の例で、しかも、横田基地(東京)から岩国基地(山口)を経由して嘉手納基地(沖縄)に移動する最中の、特殊な訓練ではない通常飛行中の事故だったようで、なぜこのような大きな事故が発生したのかは分かっていません。

今回の事故を受け、防衛省から米軍に対して飛行に係る安全が確認されるまでオスプレイの飛行停止を要請したそうですが、当然です。国内の米軍基地は、いずれも住宅街に隣接する基地ばかりで、今回のような事故が住宅街周辺で発生しないとは言い切れません。
昨年のようにおざなりな再発防止策だけでなく、抜本的な対策(配備見直しも含む)を期待します。

ところで、「3回くらい横回転して爆発した」という目撃証言もある今回の事故について、米軍でさえ「事故は墜落だった」としている一方、防衛省が「不時着水」であると発表しているのはどういうことなのでしょうか。

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