刺客
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物騒なタイトルで失礼いたします。
よく、政治と宗教と野球の話は注意した方がいいと言われます。理屈の問題ではなく、それぞれ好き嫌いや主義・信条がありますから、対立のタネになりかねないということなのでしょう。
そうはいっても、目下の状況では政治に関する話題を避けて通るわけにはいかないようです。
衆議院解散からまだ1週間も経っていないのに、野党第一党がもはや風前の灯火状態、有利な時期とみて解散に踏み切ったはずの総理大臣率いる与党も、話題としてはすっかり脇役です。
都知事率いる新党が結成されたのは衆議院解散の直前でしたが、解散後、野党第一党を丸ごと呑み込むかと思いきや、結果的には「排除」によって選別が進められ、他方ではその野党第一党の代表代行が新党を結成するという展開になっています。
文字どおり、一夜明ければ情勢が変わっているような毎日で、来たるべき総選挙の行方も全く見通せません。
そんな中、またぞろ「刺客」とかいう物騒な言葉が言われるようになりました。
2005(平成17)年の郵政選挙ですっかり話題になった「刺客」ですが、このときは郵政民営化を推進するか否かという極めて単純化された争点を巡って、賛成派が反対派から議席を奪取することが「刺客」の目的でした。
ところが今回の「刺客」は少し傾向が違うように思えてなりません。
都知事率いる新党が差し向ける「刺客」は、その新党に参集したメンバーの古巣に対して向けられるものです。
敵将の首を持ってきたら初めて仲間として認めてやるというところでしょうか。
対立する組を抜けてきた新参者を、その組との抗争の「鉄砲玉」として使う、なんていうベタなヤクザ映画のようです。
「しょせん裏切り者は裏切り者。いずれ使い捨てにされる。」
なんてセリフが聞こえてきそうです。
争点のはっきりしない選挙では、「刺客」自らの議席を獲得することより、「敵」を落選させることに主眼があるように思えます。「排除の論理」を、政党内だけでなく議院にまで押し広げることは、質的に大きな隔たりはないのかも知れません。
こうした目論見が成功するのかどうかは分かりませんが、その目指す先にあるものは、世の中を敵と味方に分断する社会であり、個人を単位とする多様性を内包する寛容な民主主義とは全く異質のものであるということは間違いなさそうです。
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