ある検察官の起死回生
この記事は約 2 分で読めます。
東京高等検察庁のトップである検事長が、2月8日の63歳の誕生日で定年退職を迎えるはずでしたが、定年延長で半年間東京高検検事長の職に留めることを政府が決定したとのことです。
東京高検検事長といえば、検事総長に継ぐ検察庁のナンバー2のポジションで、検事総長は65歳の定年もしくは2年で退任し、後任には東京高検検事長が持ち上がるのが通例となっています。
つまり、東京高検検事長は、定年前に上のポストである検事総長の席が空けば、晴れて次期検事総長に栄転、定年も65歳までに延びるというわけです。
ところが、現在の検事総長は現在63歳。就任は2018年7月25日ですので、2年に達するのは今年の夏のことです。順当に行くと、現在の東京高検検事長はすでに定年を迎えているので、検察庁のトップにはなれません。
こうした状況で冒頭のとおり定年延長が行われると、再び検事総長への道が開かれるのではないか、この東京高検検事長は、政権との距離が近いと噂される人物でもあるため、今回の異例の取扱いは、政権による恣意的な人事なのではないかと言われているわけです。
と、ここまでは、すでにマスコミ等でも言われていることなので、目新しくも何もないのですが、今回のニュースで連想したことがありました。
それは、聖書の中の話で、死後4日も経ってからイエスの「ラザロよ、出てきなさい」という言葉によって墓の中からよみがえったラザロの話でした(ヨハネの福音書第11章)。絵画の題材にもよく取り上げられているので、ご存知の方も多いと思います。
このラザロの復活から約1か月後にイエスも十字架にかけられることになります。神の子であるイエスの復活とは神学的な意味が違うのだとは思いますが、このラザロの復活劇は、後に十字架の露と消えたはずのイエスが復活することを予感させる伏線となっています。
死臭さえ漂っていたラザロをよみがえらせ、死後復活し40日間にわたって人々の前に姿を現し、その後、父なる神のもとに昇天したイエス。
定年間近の東京高検検事長をラザロになぞらえるならば、起死回生の延命策で彼を救おうとする政権の主は・・・。
もしや本気で4選を狙っている?
すでに腐臭が充満しているというのに。
関連記事
-
朝三暮四
「朝三暮四」という故事成語はご存知ですね。 中国は春秋時代の宋に狙公という人がい …
-
ウクライナ
芥川龍之介は、羅生門で死人の髪の毛を盗む老婆にも、その老婆から着物を奪い取る下人 …
-
方広寺の鐘
どうやらそろそろ収束が見えてきたようです。 もちろん新型コロナウイルス・オミクロ …
-
暴走列車の行く先
5月末までとされていた緊急事態宣言は、結局6月20日まで約3週間延長されることに …
-
友情と下心
今年も新語・流行語大賞の候補がノミネートされる季節になりました。 候補に選ば …
-
舞台裏
最近、色々な舞台裏が見えてしまうことが続いていますね。 フジテレビと産経新聞社の …
-
身の丈と体重
一昨年亡くなられた早坂暁氏の代表作として真っ先に挙げられるのは「夢千代日記」だと …
-
刺客
物騒なタイトルで失礼いたします。 よく、政治と宗教と野球の話は注意した方がいいと …
-
ステイ・ホーム その後
4月30日の「ステイ・ホーム」という投稿で、音楽好きの方には写譜をして、演奏家気 …
-
ステイ・ホーム
新型コロナウイルス感染拡大を防止するため、東京都は、今年の大型連休を「ステイ・ホ …