バベルの塔
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現在、上野の東京都美術館で「ブリューゲル『バベルの塔』展」が開催されています。
ブリューゲルのバベルの塔といえば、ウィーンの美術史美術館に所蔵されているものの方が有名かも知れませんが、今回来日しているのは、オランダ・ロッテルダムにあるボイマンス美術館所蔵のものです。
ちなみに、上の写真は、東京都美術館の裏手、東京芸術大学の構内で行われている、「『Study of BABEL』展」のものです。東京都美術館の展覧会の関連企画として開催されているもので、ブリューゲルのバベルの塔の立体モデルが展示されています。写真に写っているのは昼のバベルの塔で、裏に回ると夜のバベルの塔が再現されています。
絵画自体も立体感のある細密なものですが、実際に立体化されたものには、また違った印象を受けました。
ご存知の方も多いと思いますが、バベルの塔というのは、旧約聖書の「創世記」に登場する巨大な塔で、人間が築き始めた塔がやがて天まで届くほどの高さに達したところ、神が人間たちの間で交わされている言葉を、お互いに通じない別々の言葉に変えてしまったため、塔の建設が立ち行かなくなり、ついに塔は放棄されて、人々は世界各地に散らばっていった、というものです。
神の領域をもおびやかすほどの技術を身に付けた人類も、共通の言葉を失うことで組織があっけなく崩壊してしまう。
バベルの塔が廃墟となったのは、技術不足でも、材料不足でもなく、ましてや神の手によって壊されたのでもなく、ただ人間がお互いの言っていることを理解できなくなっただけというのは、現代にも通じる教訓であるように思われます。
お互いに意味は通じているはずの日本語を使って議論しているにもかかわらず、ほとんどかみ合っているようには思えない国会での最近の議論を見ていると、国会議事堂が、いや、この国全体がバベルの塔になりつつあるように思えてならないのです。
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