友情と下心
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今年も新語・流行語大賞の候補がノミネートされる季節になりました。
候補に選ばれて当然と思われる「モリカケ問題」という言葉がノミネートされなかったのは、誰かの「忖度」が働いたのかも知れません。「忖度」はノミネートされたようですが。
そんなモリカケ問題のカケの方、安倍首相の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設について、今日、文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)が開設を認める答申をしたとのニュースが報じられました。先日の総選挙の翌日には答申があるのではと噂されていたので、少し遅れたものの、大方の予想通りの動きと言えるでしょう。
その総選挙のきっかけとなった、衆議院の解散の意向を安倍首相が記者会見で表明したのは9月25日。この日首相は、夜のニュース番組に慌ただしくはしご出演したのですが、その中のある番組で、この加計学園問題についての質問を受けて、次のように答えていました。
いわば彼(加計学園の理事長)とは、40年来の友人ではありますが、なぜ友人であり続けることができたかと言えばですね、できたかと言えば、まあ、彼はたしかにですね、いろんな学部を作っています。でもその学部ごとに、一度もですね、私にその学部の説明をしたり、依頼されることはありませんでした。友人というのはですね、お互いに相手の地位を利用する、ということをした瞬間にですね、これは友人ではなくなるんだろうと。そういうことがなかったからこそ、私はこの40年間友人であり続けることができたと、こう思っています
首相がそうおっしゃるのをはなから信用しないとは言いませんが、学生時代からの友人の人脈を、文字通りの財産としてビジネスに生かしている例はいくらでもあるように思います。釣り仲間からもらった1枚の名刺を頼りに商談に結びつけようと必死になるビジネスマンの姿を描いたCMをご覧になった方だっていらっしゃるでしょう。これだって「相手の地位を利用する」ことには違いありませんし、その結果、釣り友達ではなくなるどころか、ますます関係が深くなることだってあるのではないでしょうか。
先日、安倍首相は、アジアを歴訪するアメリカのトランプ大統領を友人として迎えましたが、その歓待ぶりといったら大変なものでした。破格の歓待を受けたトランプ大統領は、離日の朝、Twitterで次のようにつぶやきました。
My visit to Japan and friendship with PM Abe will yield many benefits, for our great Country. Massive military & energy orders happening+++!
(私の訪日と安倍首相との友情は、我らが偉大な国(米国)に多くの利益をもたらすだろう。軍事とエネルギーの大量注文だ+++!)
安倍首相の論理によれば、どうやらトランプ大統領はこの瞬間に友人ではなくなってしまったようです。
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