明日は終戦の日
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大型の台風10号が西日本に接近しているため、明日8月15日の高校野球の試合は順延になりました。終戦の日の正午には、一旦試合を中断し、1分間の黙祷を捧げることが慣例となっていますが、今年は甲子園での黙祷は行われないようです。
日本では8月15日が終戦の日とされていますが、これは、昭和天皇によって終戦詔書が読み上げられ、日本の降伏が国民に公表された日ということで、実際にポツダム宣言の受諾を連合国に通告したのは前日の8月14日ですし、東京湾に浮かぶ戦艦ミズーリの甲板上で降伏文書に調印されたのは9月2日のことです。
しかし、国民にとってはやはり8月15日が特別な日であることに変わりません。
ここから日本の戦後が始まったわけです。
日本における戦後のもっとも大きな転換は、日本国憲法の制定と言って差し支えないでしょう。
それまで天皇を中心とする国家や国体に価値の淵源が求められていたものが、日本国憲法では個人の尊厳に置き換わりました。すべての国民は個人として尊重され、生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とされることになったのです(日本国憲法13条)。
国家の尊厳や祖国の誇りといった言葉は、しばしば個人を抑圧し、多様性を否定し、統制、動員、徴用、造反者への攻撃といった行動と結びついてきました。
個人の尊厳が国政の上で最大の尊重をされるということは、そうした価値観を180度転換するものだったわけです。
これを「戦後レジーム」として憎み、国民がひとつの旗の下に統一し、ひとつの価値観に沿って統制された行動を取り、国家は国民を庇護し、国民は国家を愛し、国家繁栄のためには不平不満はぐっと堪え、いざ一大事が起こったならば国家のために命を捧げる覚悟を持つべきだ、というような世の中を「美しい国」として夢想するのは、「戦後レジームからの脱却」ではなく、「戦前回帰」という評価がふさわしいといわざるをえません。
多様性を認められない偏狭は、異質なものを排除し、対立するものを敵視し、憎悪や攻撃の対象を見出すばかりです。その先に平和は存在しません。
八月や 六日 九日 十五日
恥ずかしながら、この句の存在を知ったのはごく最近のことでした。
この日付の意味が風化することのないよう、甲子園球児に代わって、改めて心に刻みたいと思います。
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