弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

東京中央法律事務所の公式ブログです

*

犯罪人の移送と当番弁護士

 

この記事は約 2 分で読めます。

一連の広域強盗事件で国外から指示を出していたとされる容疑者が、今日滞在先のフィリピンから国外退去となり、移送中の航空機が日本領空に入ったところで日本の警察に逮捕されたことは、報道でご存知のことと思います。

フィリピンは日本との間で犯罪人引渡し条約が整っていないため、日本で犯罪を犯した犯罪者がフィリピンに逃亡するという例があるようですが、条約外の外交ルートによる交渉で犯罪人引渡しが行われているようですし、日本で逮捕状が出ることでフィリピンでの在留資格を失い、不法滞在になるため国外退去、という段取りが整っているようなので、フィリピンに逃げれば大丈夫、というわけにはいかないようです。

今回の逮捕劇で思い出したことがあります。
もうずいぶん前のことですが、国内を騒がせたとある事件の容疑者が現在日本に向けて移送されている最中、弁護士会からの電話で、

日本の領空に入った時点で逮捕されて、そのまま警察に留置される見込みなので、到着後、当番弁護士として接見(面会)に行ってもらうかも知れません

と言われたことがあったのです。

当番弁護士というと、身柄拘束された被疑者からの要請で、ひとまず1回無料で弁護士が派遣され、今後の手続や弁護人を選ぶ権利の説明、取調べなどにどのように対応したらよいかなどのアドバイスをするものです。そのまま弁護人として弁護に当たることも少なくありません。

しかし、これは一般的な事件の場合。
これ以外に、弁護士会の刑事弁護委員会の判断で、重大事件などについて、「本人の要請を待たずに」当番弁護士を派遣することがあるのです。

この日たまたま「委員会派遣」の当番弁護士として待機していたところに上の電話が入ったわけです。
マスコミも注目する事件なので、警察にも記者が詰めかけていることでしょう。
新聞やテレビの向こう側で起こっている事件と思っていたのが、急転直下、弁護人として関与することになるかも知れません。
どうなることかとハラハラしていたところ、再び弁護士会から電話が。

あの件は私選弁護人がつくようです

ほっと一安心したのでした。

今回の逮捕劇の裏でも、当番弁護士がドキドキしているのかも知れません。

 

 - 話題

  関連記事

統計不正の影響

私たち弁護士が扱う事件の中に、加害者などに対して損害の補償を求める、損害賠償請求 …

後悔先に立たず

「イギリス、EUやめるってよ」 というタイトルのブログが乱立するだろうなあと思っ …

岩手文学に脚光

一昨日、芥川賞と直木賞の発表がありましたが、その続報で、岩手文学が脚光を浴びてい …

森羅万象

森羅万象という言葉が突然話題になっているというので、早速調べてみたところ、国会で …

印象操作

何とかの一つ覚えじゃないですが、同じフレーズを多用する人っていますね。少し前には …

防衛省と住民基本台帳

自衛官募集のために地方自治体が協力してくれないけれど、自衛隊を憲法に明記すれば、 …

キラキラ

「第3次安倍第3次改造内閣」が発足しましたが、新しく「人づくり革命担当大臣」が誕 …

不適切だが違法ではない

昨日行われた東京都議会総務委員会の集中審議で、舛添要一都知事の辞任は既定路線にな …

復興大臣の失言と本音

  (東日本大震災は)死者が1万5893、行方不明者2585、計1万8 …

汚名をそそぐ

今日は年度末です。 今月の大きなニュースといえば、ワールド・ベースボール・クラシ …