ブルーインパルス
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昨日、東京の空を航空自衛隊のブルーインパルスが飛んだようです。
飛んだようです、というのは、換気のために開けていた事務所の窓から飛行機の騒音が飛び込んできたのですが、先日から都心上空を通過する羽田空港の発着ルートが利用されるようになったこともあり、その騒音かと思った程度の認識なので、実際のところは報道でしか知らないからです。
曰く、新型コロナウイルス対応に当たる医療従事者への感謝と敬意を示すための飛行だったそうですが、どうしてブルーインパルスの展示飛行が医療従事者への感謝と敬意の表示になるのかは、さっぱり分かりませんでした。
東京の空の西半分は、在日米軍横田基地の管制下にある「横田空域」に属していることもあって、東京の空は過密なことで知られています。羽田空港の新ルートを増やすにも、横田空域を一部通過せざるをえないため、米側との折衝が難航したと言われています。
今は新型コロナ問題で航空会社も減便をしているので、空の過密さは減少しているとしても、なぜブルーインパルス?という疑問は解消しません。
もしかすると、本当ならこの夏に行われるはずだった2度目の東京オリンピックで、前回の東京オリンピックの開会式の時のように、ブルーインパルスが五輪マークを空に描く予定だったのが延期になってしまったため、代わりの出番を作ったのかも知れません。
3月20日に航空自衛隊松島基地で行われた聖火到着式でもブルーインパルスがカラースモークを焚いて飛んだようですので、そうなのかなと思うのです。
爆音を伴う派手な飛行なので、注目を集めやすいことは間違いありません。
「医療従事者への感謝と敬意を示すため」というなら、東京都庁舎、東京タワー、スカイツリー、レインボーブリッジなどが青くライトアップされたのも同じ目的でしたが、もしかしたら、それより目立つ何かをしたいと思う関係者(例えば総理大臣とか、防衛大臣とか、その側近とか)が思いついたとしても不思議ではありません。
もっとも、その思いつきを実行する必要があったのかどうかについては疑問が残りますが。
派手なパフォーマンスだけで、実体、例えば医療現場で不足しているという防護服や消毒液などの物資、医療機関・医療従事者の経済支援などが伴わなければ、文字通り「打ち上げ花火」で終わってしまいます。参議院の本会議を途中退席して、官邸の屋上からブルーインパルスの航跡に拍手を送った首相が、よもや今後の支援体制にぬかりがあるようでは、その資質が問われると言ってよいでしょう。
本当は誰のためのブルーインパルスだったのかと。
それより何より、先日の緊急事態宣言解除以来、街の人出も多くなり、新型コロナウイルスの感染者も一時期ほどではないにせよ、東京都だけで毎日2桁の報告があり、特効薬もワクチンも開発されていない状況は変わりません。
早く現在の閉塞感から抜け出したい気持ちは分かりますが、人の命が関わる問題にあせりは禁物です。
まして、特別定額給付金どころか、1か月以上前に始まったはずの「アベノマスク」さえいまだに配布できていない政府が、国民一人一人の生命、健康、財産にどの程度の優先順位を与えているのかを考えれば、先日の緊急事態宣言の解除や、今後の収束宣言(「終息」宣言ではないところがポイント。もしかしたら「新型コロナウイルスに対する勝利宣言」とか言い出しかねませんが。)を盲信するわけにはいかないと考えています。
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