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憲法第25条(生存権)

 

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第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 憲法25条は生存権の保障について定めています。
 思想・良心の自由(憲法19条)、信教の自由(20条)、表現の自由(21条)などの自由権は、こうした自由を保障するために、国などの権力が干渉することを禁止するものですが、生存権などの社会権は、これとは異なり、国などに積極的に施策を求めるものです。
 もともと、近代の憲法は自由権を保障するために作られ、発展してきましたが、資本主義が発達する中で、自由権を保障するだけでは、本当の意味で個人の自由や尊厳を守ることができないことが意識されるようになりました。
 そして、日本国憲法が制定されるにあたり、個人の尊厳(憲法13条)を確保するために、生存権が人権として保障されることになったのです。

 憲法25条については、日本国憲法が制定された当初には、国に対する政治的・道徳的な努力義務を課したもので、個々の国民に権利を保障したものではないという考え方もありました。
 しかし、それでは、憲法が生存権保障について定めた意味がありませんので、今ではそのような考え方は姿を消しています。生存権は憲法が保障した人権なのです。

 そして、憲法25条の生存権保障を最終的に担保するために設けられているのが生活保護制度です。
 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」もこれだけでは具体的内容が分かりませんが、厚生労働大臣が定める生活保護基準という形で具体的に示されることになります。
 この生活保護基準は、最低賃金や地方税の非課税基準、国民健康保険の保険料・一部負担金の減免基準、介護保険の保険料・利用料の減額基準、障害者自立支援法による利用料の減額基準、就学援助の給付対象基準など様々な制度とも連動しています。

 昨今、マスコミ等では生活保護バッシングが煽られ、生活保護受給者が優遇されているという誤った世論が作られる中、政府によって生活保護基準の引き下げがされていますが、生活保護を受ける権利は憲法が保障する人権であること、生活保護基準を引き下げることは、生活保護受給者だけではなく、多くの国民の生活水準を引き下げることになることを認識することが必要です。

弁護士 渕上 隆

 - 憲法条文解説

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