弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

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人の振り見て

 

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先日インターネットで調べ物をしていたときに、「一つ返事」という言葉に出会いました。
「ためらうことなく、すぐ承諾すること。」
という意味であれば、「二つ返事」(広辞苑第5版)が本来の言い方だと思うのですが、どこかで返事が一つ減ってしまったようです。

別のサイト記事の分析によれば、「ハイハイ」という返事の仕方は失礼に当たるので、「二つ返事」は好ましくないととらえられてしまったのではないかということでした。
なるほど、「返事は1回でいい!」なんていうお小言を耳にしたことがあるのは、私だけではないでしょう。

面白いのは、この「一つ返事」という誤用は、若者よりも年配層の方が多いのだそうです。言葉の乱れは若者の方が多そうですが、これについては逆なんですね。
「返事は1回でいい!」と叱る立場に回ることが多いがゆえに、「『二つ返事』は間違いかな?」と勘違いしてしまうのかも知れません。

言葉は生き物なので、はじめは誤用でも、そのうちそれが正しい使い方になることもあるでしょう。
変化した言葉としてよく引き合いに出されるのが「新しい」という言葉です。「新」という漢字の読みにならえば、「あらたしい」と読むべきところが、今では「あたらしい」が定着し、それが正しい読みになっています。

直截」という言葉は「ちょくせつ」と読みますが、少なからぬ人が「ちょくさい」と読みます。裁判所の「裁」の字に似ているせいもあるのでしょうが、わが業界に多く見受けられる誤読です。

すべからく」という言葉もよく誤用されますね。「すべからく」に「すべて」という意味は全く含まれていませんが、
「今般成立した◯◯法はすべからく国民が反対している」
というように、「すべて」の高格調タイプのように誤用している人をよく見かけます。

字の形が似ていればいいというなら、「木村拓哉」を「きむらたくさい」と読んでもおかしくないはずです。
「すべ」だけ合っていればいいのなら、「すべり台」を「すべからく」に置き換えてもいいはずです。
でもそんなことはありませんね。

いつの日にかそれが正しいという時代が来るとしても、やはり今のうちは、人の間違いを追認するのではなく(どこかの閣議決定もしかり)、訂正したいものだと考えています。

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