つり革考
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電車のつり革には地域差があるのだそうです。
関東近郊では写真のような三角型が多く、中京と関西では圧倒的に丸形なのだそうです。何か理由があるのかも知れません。
先日、電車に乗っていてふと思ったことがあります。つり革につかまっている人と、つり革につかまっていない人とでは、揺れ方が違うようなのです。
たとえば電車が動き出す時、慣性の法則で、乗客には進行方向と反対向きの力がかかります。
その時つり革につかまっている人は、その力に任せて進行方向と反対側に揺れます(全員ではありませんが)。それでもつり革をつかんでいるおかげで、倒れてしまうことはありません。
これに対して、つり革につかまっていない人は、電車が動くのに合わせて、進行方向側に体を傾けて重心を移動し、倒れないようにしています。
電車が減速する時はこの反対です。
同じ電車の中で、逆方向に揺れるわけですから、お互いにぶつかって、トラブルの原因になることもあるので、困ったものです。
つり革につかまっていない人の中には、足腰を鍛えるトレーニングのつもりでそうしている人もいるかも知れませんが、混んでいてつり革につかまれない、背が低くて手が届かない、肩を痛めていて手が上がらないという人もいるでしょう。そういった人たちは、電車の揺れで倒れないように踏ん張るか、それができずに周りの人にもたれかかるしかありません。
本当はつり革につかまっている人も、電車の揺れに任せるのではなく、一踏ん張りして、つり革につかまれなかった人と一緒に揺れに抵抗することができるといいのかも知れません。むしろ、つり革を持っている自分が揺れの防波堤になるくらいの意気込みで。
つり革を既得権益のようにして大いに揺れたり、つり革につかまれなかった人を自己責任の問題にしたりする強者の論理は、いろいろな人が乗り合わせる電車の中には似つかわしくないように思えます。
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