どうして台風の「中心」にこだわるの?
この記事は約 2 分で読めます。

今年は台風が多いですね。今もまさに台風18号が東日本に向かって急接近しているところです。
台風が直接東北地方の太平洋側に上陸したのは、気象庁が統計を取り始めて以来、今年の台風10号(あの迷走台風です)がはじめてだったそうですが、今回の台風18号が石川県・新潟県・山形県のいずれかに上陸すれば、これも観測史上初めてのことなのだそうです。
でも、この「上陸」ってどれほどの意味があるのでしょうか。
台風の上陸というのは、要するに台風の「中心」が海上から陸上に移動したことですよね。台風の進路を観測・記録するには意味のあることでしょうし、台風のエネルギーになる温度の高い海面からの上昇気流が陸上では生じないために、上陸後は勢力が衰えやすいという意味はあると思います。
でも、台風はピンポイントの現象ではなくて、強風域や暴風域を伴う場合には、台風の中心付近ではなくても大きな災害に見舞われることがあります。
雨の範囲でいえば、台風が接近する遙か前から大雨になったりすることはめずらしくありませんし、多くの台風では台風の進路の前側に雨のエリアが広がっているので、台風の中心が通過する頃には、雨はほとんど上がってしまうこともよくあります。
台風への備えという意味で言えば、台風の中心を基準に接近とか上陸とか言われるより、強風域や暴風域、雨雲の範囲などの接近の情報の方がずっと大事です。
たまに、台風が接近して、風も強く横なぐりの雨が降っているにもかかわらず、
「まだ台風は来てないんだろ?」
とか言っている人もいますが、こういう誤解を与えないように、「初上陸」なんていうことをことさらに取り上げる台風報道のあり方を、少し考え直してもらいたいと思います。
蛇足ながら、台風銀座として知られる沖縄は、意外なことに、いまだかつて台風が上陸したことはないんですね。
理由は、「台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合」を「上陸」というからだそうです。
やっぱりどこか、感覚とズレがあるように思えてなりません。
関連記事
-
-
倍返し
私たちの事務所名によく似た銀行を舞台にしたドラマが最終回を迎えたようですが、残念 …
-
-
老いと運転
江戸時代の禅僧、仙厓義梵といえば、「○△□図」や「指月布袋図」などのユルい禅画で …
-
-
アベックラーメン
熊本在住の学生時代からの友人から、上京の際の手土産に「アベックラーメン」をもらっ …
-
-
14年前の使い回し
一昨年のハロウィンの夜、京王線内で起きた刺傷事件について、今日行わ …
-
-
すずしき谷間に
ドイツの詩人ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩に、フリードリヒ・グリュックが …
-
-
よいお年をお迎えください
今年も1年お疲れ様でした。 来年もよろしくお願いいたします。
-
-
人の振り見て
先日インターネットで調べ物をしていたときに、「一つ返事」という言葉に出会いました …
-
-
雨と傘と電車
東京もすっかり本格的な梅雨です。 雨の季節になくてはならないのは雨傘ですが、その …
-
-
明日は終戦の日
大型の台風10号が西日本に接近しているため、明日8月15日の高校野球の試合は順延 …
-
-
公衆電話の命運
霞が関の弁護士会を訪れたところ、こんな光景を目にしました。 利用者が少ないと公衆 …
- PREV
- 豊洲にしてもオリンピックにしても
- NEXT
- 青海(あおみ)と青梅(おうめ)
