弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

東京中央法律事務所の公式ブログです

*

どうして台風の「中心」にこだわるの?

 

この記事は約 2 分で読めます。

lgf01a201311171600

今年は台風が多いですね。今もまさに台風18号が東日本に向かって急接近しているところです。

台風が直接東北地方の太平洋側に上陸したのは、気象庁が統計を取り始めて以来、今年の台風10号(あの迷走台風です)がはじめてだったそうですが、今回の台風18号が石川県・新潟県・山形県のいずれかに上陸すれば、これも観測史上初めてのことなのだそうです。

でも、この「上陸」ってどれほどの意味があるのでしょうか。

台風の上陸というのは、要するに台風の「中心」が海上から陸上に移動したことですよね。台風の進路を観測・記録するには意味のあることでしょうし、台風のエネルギーになる温度の高い海面からの上昇気流が陸上では生じないために、上陸後は勢力が衰えやすいという意味はあると思います。

でも、台風はピンポイントの現象ではなくて、強風域や暴風域を伴う場合には、台風の中心付近ではなくても大きな災害に見舞われることがあります。
雨の範囲でいえば、台風が接近する遙か前から大雨になったりすることはめずらしくありませんし、多くの台風では台風の進路の前側に雨のエリアが広がっているので、台風の中心が通過する頃には、雨はほとんど上がってしまうこともよくあります。

台風への備えという意味で言えば、台風の中心を基準に接近とか上陸とか言われるより、強風域や暴風域、雨雲の範囲などの接近の情報の方がずっと大事です。

たまに、台風が接近して、風も強く横なぐりの雨が降っているにもかかわらず、

「まだ台風は来てないんだろ?」

とか言っている人もいますが、こういう誤解を与えないように、「初上陸」なんていうことをことさらに取り上げる台風報道のあり方を、少し考え直してもらいたいと思います。

 

蛇足ながら、台風銀座として知られる沖縄は、意外なことに、いまだかつて台風が上陸したことはないんですね。
理由は、「台風の中心が北海道・本州・四国・九州の海岸に達した場合」を「上陸」というからだそうです。
やっぱりどこか、感覚とズレがあるように思えてなりません。

 - 日記

  関連記事

師走の前に

早いもので今年もあと1か月あまり。来週は12月、師走です。 「師走」というと、教 …

あけましておめでとうございます

あけましておめでとうございます 今年は巳年(みどし)です。 「巳」の文字は胎児の …

法廷から見えた虹

ニュース映像などでご覧になったことがあると思いますが、裁判所の多くの法廷は窓がな …

道半ば

  日本では大型連休中だった5月5日、世界保健機関(WHO)が新型コロ …

英国が欧州連合離脱へ

正直、ほとんどの人はこの国民投票の結果を予想していなかったのではないかと思います …

最高検の検証結果に思う

もうずいぶん昔の話ですが、いわゆる痴漢冤罪事件の弁護を担当したことがありました。 …

日傘事始

一昨年の夏は過去最も猛暑日が多い夏(16日)でしたが、昨年はそれを上回り、猛暑日 …

特殊詐欺と弁護士

Wikipediaによれば、「オレオレ詐欺」の最初の検挙事犯は2003年のことだ …

10年ひと昔

今からちょうど10年前、東京中央法律事務所は四ッ谷から現在の新宿御苑前に移転しま …

寒中お見舞い申し上げます

例年仕事始めの頃に新年のごあいさつの投稿をしていたのですが、今年は元日早々に能登 …