まだ大丈夫?
この記事は約 2 分で読めます。

西日本を中心とした豪雨被害に遭われた皆様、今も避難生活を余儀なくされている皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
「平成30年7月豪雨」と名付けられた豪雨ですが、気象庁は7月5日午後2時に臨時の記者会見を開いて、記録的な大雨になる可能性を指摘し、厳重な警戒を呼び掛けました。気象庁が台風以外の気象現象で事前に記者会見を開いて警戒を呼びかけるのは異例のことなのだそうです。
しかし、残念ながら、気象庁の呼びかけにもかかわらず、この豪雨によって多くの人命が失われてしまいました。
警戒を呼びかけられ、避難勧告などが出ても、危険な地域にとどまって災害に見舞われてしまうという事例はなくなりません。
しかし、「早く逃げればいいのに」というのは、安全な場所にいて、他人事だから言えることではないかとも思うのです。
「正常性バイアス」という言葉があります。
事故や事件、災害などが起こっても、根拠もなく「自分は大丈夫」「まだ大丈夫」と考えたり、自分にとって都合の悪い情報に接しても、それを無視したりしてしまう心理的な特性のことです。
「大型で強い台風が接近しています」と言われても、「どうせこっちに来る頃には弱まっているんだろ」と過小評価したり、「近所で火事だ」と言われても、「こっちに燃え広がることはないだろ」と思ったり、「小さな落石は土砂崩れの前触れです」と聞かされても、「あの程度の石ころは何でもないときでも墜ちてくるんだから、大丈夫だ」と言って避難しなかったり。
誰だって事故や災害に巻き込まれたくありませんから、そんな目には遭わないと信じることで気持ちを落ち着かせ、差し迫った事態に遭遇しても、「落ち着け、俺はまだ大丈夫だ。」と自己暗示をかける、そんな気持ちは理解できます。
でも、この状況は認識に「ゆがみ」が出ている状態です。
事故や事件、災害に直面している時ほど、認識がゆがんで、間違った行動をしてしまう。
パニックもこわいけれど、その反対の「大丈夫」という思い込みの方が、ずっと深刻なのかも知れません。
周りから「大丈夫?」って聞かれた時点で、たいていもう大丈夫じゃない
と聞いたことがあります。
上に、
「早く逃げればいいのに」というのは、安全な場所にいて、他人事だから言える
と書きましたが、これは無責任な発言だということばかりではなく、正常性バイアスの「外側」からのメッセージを軽く見てはいけない、ということでもあります。
もっとも、外側からのメッセージは、
「逃げて!」
「逃げろ!」
くらいの強い言葉でないと、バイアスを超えられないかも知れません。
関連記事
-
-
三段論法
人間は死から逃れられない。(大前提) ソクラテスは人間である。(小前提) ゆえに …
-
-
死刑の方法
刑法11条1項は、 死刑は、刑事施設内において、絞首して執行する。 と定めていま …
-
-
特殊詐欺と弁護士
Wikipediaによれば、「オレオレ詐欺」の最初の検挙事犯は2003年のことだ …
-
-
刺客
物騒なタイトルで失礼いたします。 よく、政治と宗教と野球の話は注意した方がいいと …
-
-
舞台裏
最近、色々な舞台裏が見えてしまうことが続いていますね。 フジテレビと産経新聞社の …
-
-
オスプレイ墜落
昨日、屋久島沖で在日米軍横田基地所属の軍用機オスプレイが墜落したとのニュースが飛 …
-
-
豊洲にしてもオリンピックにしても
連日報道されている豊洲新市場問題ですが、昨日の報道では、地下水から環境基準を超え …
-
-
朝三暮四
「朝三暮四」という故事成語はご存知ですね。 中国は春秋時代の宋に狙公という人がい …
-
-
取り戻すまでもない
働かざる者食うべからず この言葉は、しばしばレーニンの言葉として伝えられていま …
-
-
新型コロナウイルスの猛威
新型コロナウイルスの猛威は、ついにオリンピックまで吹き飛ばしてしまいました。 こ …
