弁護士 菅沼 友子

 昨年度、第二東京弁護士会の会長と兼務で日本弁護士連合会副会長をつとめたが、その年度の女性副会長は15人中6人(4割)。執行部としての日常業務はもちろん、総会等の会議やイベントでも女性の活躍が注目された。この状態が安定している訳ではなく(今年度は2割に減少)まだまだ道半ばではあるが、ここに至るまで日弁連では約15年にわたって弁護士のワークライフバランスの確保、誰もが参加できるような会務の在り方の検討、業務・会務におけるハラスメントの防止・救済の制度創設、さらに副会長・理事に関するクォータ制の導入などの取組みを行ってきた。昨年度の状況はその一定の成果と言えると思う。

 昨年9月に発足した岸田内閣では、歴代最多の5名の女性閣僚が誕生した一方で、副大臣・政務官は2001年に現行制度になって以来初の女性ゼロとなった(発足当時)。「適材適所の結果」などと説明されているが、男女共同参画社会基本法が出来て四半世紀、5年前からは「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」に基づき、国や地方公共団体等に対し環境整備や人材育成等の努力義務、政党等に対し候補者選定方法や人材育成等に関する努力義務が課されている。求められる取組みをしたけれども(そもそもこの間効果的な取組みがあったとは思えないが)副大臣・政務官に適材な女性議員が一人もいないということなのか。仮にそうだとしたら、効果がない原因を検討して取組みの仕方を見直すべきであって、「適材適所」などと言って正当化できることではないのではないか。

 世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダーギャップ指数を見ても、日本のジェンダー平等の取組みの遅れは明白である。ジェンダーギャップの原因分析、対応方策の立案、実施と検証という取組みを速やかに始め、かつ、それを継続していくことが必要だと思う。