弁護士 長谷川 弥生

 昨年9月プーチン大統領は「部分動員」の大統領令を発動し、併せて刑法を改正、動員拒否に対する懲役刑が科されうるようになった(今年4月の改正でさらに厳罰化)。

 ロシアは徴兵制をとるが、憲法59条3項は、個人の信念や信仰等により代替奉仕勤務を選択する権利を保障している(良心的兵役拒否)。しかし、徴兵ではなく予備役の「動員」の拒否にかかる動向は不透明で、現在、動員拒否者への行政罰、刑事訴追が増えているという。

 モスクワに良心的兵役拒否者の支援に取り組む弁護士の団体「市民と軍隊」がある。この代表者セルゲイ・クリベンコ氏は、昨年ノーベル平和賞を受賞した「メモリアル」の理事でもある。これらの団体は、「外国の代理人」に認定され、家宅捜索が行われるなど、厳しい状況に置かれている。

 先日、東京法律事務所の加部歩人弁護士と担当している事件の関係で、加部弁護士の伝手を辿り、「市民と軍隊」で活動する弁護士アルセーニ・レヴィンソン氏からオンラインで話を伺った。レヴィンソン弁護士は、宗教的理由により兵役を拒否した男性の弁護を行ったが、この男性も懲役2年5月の有罪判決を受けてしまったという。

 望まない戦争に動員されまいと、国外に逃れる人も増えている。これらの人々が、日本も含む避難した先の国で適切な保護を得られることを願う。

 また、ロシアでは、反戦の意見表明などにより偽情報流布にあたるとして逮捕されるなど、市民的自由が抑圧されている。レヴィンソン弁護士ら、危険を冒してロシア国内で活動する人々、団体について広く知ってほしい。