この5月末、中教審に、教員の長時間の時間外勤務抑制の仕組みや時間外勤務手当支給の考え方を含む処遇改善の在り方などが諮問されました。
これは50年程前の「公立教員の給与特別措置法(給特法)」に根があります。当時相次いだ、教員の時間外勤務に労基法の超勤手当支払を求める裁判を避けるため、当時の残業8時間相応の月額給与4%の「教職調整額」支給し、残業命令を生徒の実習・学校行事・非常災害などに限定する一方、労基法の残業代などを支給しない特別措置の給特法を設けたのでした。
その後、学校5日制や新科目増加などで授業持時間数が増えたのに、少子化に備え教員定数は増やさないなどで、「定額働かせ放題」の教員の長時間勤務が深刻化しました。2016年の勤務実態調査の中学校で6割・小学校で3割の教員が1か月の法定時間外労働80時間の過労死ラインを超える実態に、2019年中教審「学校の働き方改革」答申で、教員定数増や残業代支給など予算を伴う施策は避け、給特法を前提に業務精選や残業時間の1か月45時間・年間360時間などの上限指針による時間管理に留め3年後の勤務実態調査で再検討するとされました。その2022年勤務実態調査でも残業時間の減少は1か月20~30分程度に過ぎず、依然深刻な状態で、教員のなり手不足や授業に穴があく現象多発下での冒頭の諮問です。
与党特命委員会から教職調整額の10%への引上げ提言などもありますが、労基法の割増を含む超勤手当の長時間勤務抑制と適正な数の働き手確保機能を無視するもので改善につながりません。これを本気で是正するには、教員増・残業代支払い・予算確保が不可欠です。ゆとりのある先生の下で子どもたちが学校生活を送れるようにしたいものです。