「法の支配」を社会の隅々まで、全国何処でも法的サービスを同じ様に受けられる体制をどう創るかという司法改革の目玉の1つとして出されたのが(独立行政法人)「日本司法支援センター」愛称「法テラス」の創設です。法テラスは、2006年10月から実施に移され、既に活発に活動が展開されています。ところで法テラス設置法は「総合法律支援法」で、平成16年6月に成立。この法の「目的」(第1条)には、「内外の社会経済情勢の変化に伴い、法による紛争解決が1層重要になることに鑑み・・弁護士・・(ら)法律専門職者のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援の実施及び体制に関し・・中核となる日本司法支援センター・・について定め、もってより自由かつ公正な社会の形成に資する」とあります。その業務は、①裁判等を利用するためと、法律専門職者を利用するための情報提供、②従前から実施されてきた民事法律扶助事業の整備発展、③国選弁護人の選任態勢の確保、④犯罪被害者の援助態勢の充実等です。このため、法テラスは「スタッフ」弁護士を雇用することも出てきます。

 端的に言えば、法テラスの存在意義は、弁護士会が1952年から支えてきた法律扶助協会法リーガルエイド事業の一層の発展で、今まで不十分な寄付等に頼っていたのが、運営費にまで国庫負担が認められる余地ができたことです。

 更に、弁護士ゼロ地域等の過疎対策として、従前ひまわり基金法律相談所の全国展開を弁護士会が自らの資金で行ってきたのが、今後はスタッフ弁護士による過疎地での業務が可能になり、更に発展が期待されるに至りました。

 刑事の分野では、弁護士会がこれも従前行ってきた、警察に逮捕された時に無料で駆けつける「当番弁護士制度」(これは当面弁護士会で従前通り続けます)の発展形態である「被疑者国選弁護」が始まることになります。併せて従前裁判所が直接弁護士会を通じて国選弁護人を選任してきたのが、今度は法テラスを通じて、契約している弁護士を裁判所が選任するように変わってきます。昨年10月業務開始後は、全国一律の法的相談案内所「コールセンター」が東京に設置され、電話が殺到していると報じられています。なお、法テラス「東京事務所」が、我が事務所の50m(四谷駅前)の場所に設置され、ここで法テラスの法律相談、更に弁護士会の法律相談が同じ建物内で行われています。