去る5月15日、私共夫婦は、6泊7日の中国東北の各都市(長春・哈爾浜・大連・旅順)をめぐる八島会(小学校同窓会)訪中団の一員として日中親善の旅に参加する機会に恵まれた。

 私は1939年に旧新京の八島小学校を卒業したが、同校は、新生中国発足後も学校として存続し、その後多くの増改築を経て、現在長春第四十八中学として発展を遂げ、卒業生は中国各界で活躍している。八島会は、戦後縷々同校との親善交流を行ってきたが、今回八島会が七十周年を期に廃止されることもあって、今回最后の交流になるため、同校との共同企画「歓迎日本”八島同窓会”訪問母校曁慶祝四八中学建校七十周年」として実現したものである。

 翌5月16日われわれは、母校で予想外の熱烈歓迎を受けた。廣い校庭の両脇に並ぶ生徒から一人一人花束を贈られ、沢山の生徒の整列する中で歓迎式典が行われた。日本と変わらない5月の日射しの中で居並ぶ生徒一人として倒れたりしないことが印象的であった。その後、校舎見学、授業参観、広い講堂での生徒総出演の各種演技(合唱、踊り、楽器演奏、先生方の独唱等)を長時間にわたり見せていただいた。驚いたのは、幼稚園で英語授業、中学でのコンピュータ授業が行われ、生徒が清潔で、生き生きしていてかつスマートであることに中国の活力を感じたことである。

 翌17日長春を観光したが、駅をはじめ、新しいビルが目立ち、旧満州時代の建物は、官庁をのぞいて軒並み減っている。

 翌18日列車でハルピン入り。沿線の防風林や、紫のライラック並木が一斉に咲いているのが美しい。松花江の中州から砂ぼこりが舞っているのが目立つ。ハルピン工大が、有料道路の建設・管理から多彩な事業主体になっている話は、中国が先行している分野か。

 翌19日大連に戻り、旅順で、二〇三高地、東鶏冠山砲台、水師営等を見学できたのは、予定外だけに僥倖であった。初めて中国訪問した妻も旧母校との暖かい交流を含めてかなり満足した様子だったのも旅の収穫である。