弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

東京中央法律事務所の公式ブログです

*

昭和100年

 

この記事は約 2 分で読めます。

1926年12月25日、大正天皇が崩御し、皇太子裕仁親王が皇位を継承、その日のうちに元号が「昭和」に改められました。
わずか7日間しかなかった昭和元年ですが、これを1年目と数えると今年2025年は100年目に当たることから、あちこちで「昭和100年」という声が聞かれます。

元々昭和天皇の誕生日であった4月29日が、のちに「みどりの日」を経て、「昭和の日」に改められたのが2005年、カレンダーや手帳の作成業者に対する配慮や、国民生活への影響を考慮して2007年から施行され、今日に至っています。

昨日は昭和100年の昭和の日ということもあり、テレビ番組などでも昭和を振り返る特集が組まれたりしました。

しかし、昭和ってひとくくりにできませんよね。
足掛け64年、実質62年と2週間も続いた昭和は、最初の20年が戦前~戦争の時代、次の30年が戦後復興から東京オリンピック(1964年)をまたいだ高度成長の時代、続く10年は中東戦争に端を発するオイルショックからの低成長の時代、最後の数年はバブル経済に沸いたあだ花の時代の入り口、というように見ることができます。
どの時代を昭和の「代表値」としてとらえるかによって、昭和の意味は変わってきそうです。

中村草田男が「明治は遠くなりにけり」と詠んだのは1931(昭和6)年だそうですから、明治が終わって20年目のこと。これに倣えば、すでに36年も前に終わった昭和は、遠くなったどころか、もはや歴史上の出来事になってしまったとさえ言えるでしょう。
私たちの業界的に言えば、最高裁判所の判事(70歳定年)でさえ、昭和に生きた時間は人生の半分以下になっているのです。

室生犀星が「ふるさとは遠きにありて思ふもの」とうたったように、遠くなってしまったものの方が強く懐かしさを感じるのかも知れません。昭和を懐かしむのも、その時代の空気を知っている人たちの郷愁がそうさせるのではないでしょうか。

脳の働きとして、思い出は美化される傾向があるそうです。
甘美な思い出に浸るのも、時には必要なことかも知れません。
しかし、昭和100年よりも忘れてはいけないのは、今年が戦後80年ということではないでしょうか。
明治、大正、昭和は、戦争があった時代でした。
しかし、平成期は少なくとも我が国が直接戦火を交える戦争は回避できました。
では令和の今とこれからは?
昭和を懐かしんでいる場合ではなさそうです。

 - 雑記

  関連記事

事務所移転1周年

事務所が四谷から、ここ新宿御苑前に移転して1年が経ちました。写真は、1年前、荷物 …

怖い罠

怖い罠の話です。 Excelの最終行かつ最終列に密かに半角スペースを入れたファイ …

聞きのがせない

こんな言い回しを耳にしたことがあります。 「●●の候補を、もう国会に送らないでい …

横書き読点問題に決着

横書きにおける読点をカンマ(,)にするか、テン(、)にするか、という、大変小さな …

ありがたくない話

「当たり前だ」が口癖になっている人っていますね。 あの言い方には、 一々考えなく …

衝突の確率

数十メールの大きさの小惑星が地球に衝突するかもしれないというニュースは、もしかし …

明日がつらいなら

   9月1日は、18歳以下の子供の自死が1年で最も多い日なのだとか。 …

読点とカンマ問題

裁判文書には20世紀と21世紀で大きな違いがあります。 20世紀、つまり2000 …

「カンマ」から「テン」へ

ちょうど1年ほど前に公式ブログに書いた「読点とカンマ問題」という記事が、この1か …

新入幕優勝

先日の大相撲春場所(三月場所・大阪場所)では、新入幕の尊富士の幕内最高優勝で幕を …