バーベキューでのトラブル

 夏になると、近所の人を集めてバーベキューをしています。今年も自宅に数人を招いてバーベキューをしたのですが、お肉が生焼けだったのか、食中毒を起こしてしまいました。
 すると、その中のひとりが、治療費もかかったし、食中毒のせいで翌日から行く予定の旅行をキャンセルせざるを得なくなりキャンセル料がかかった、全額弁償しろと言ってきました。確かに食材を準備したのも焼いたのも私ですが、費用をもらっているわけでもなく、全て善意で招待したものです。
 食中毒を起こしてしまったのは申し訳ないですが、弁償する必要はないんじゃないでしょうか。

 好意・無償で行われた行為(パフォーマンス)の過程で相手方に迷惑・損害を与えてしまうケースは世の中に少なからずあって、本件もその一例と思われます。
 しかし、今回のバーべキューの集いがあなたの好意による無償の招待であったからといって、その過程であなたの調理上の手落ち(過失)によって参加者に食中毒を起こさせ、苦痛(腹痛)を味あわせ、治療費まで負担させることになったとすれば、法律的には、「過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者」に該当し、「これによって生じた損害を賠償する責任を負う」ことを免れません(民法709条)。

 ただし、その場合でも、あなたの調理上の手落ち(過失)から生じた参加者のすべての損害をあなたが賠償させられることになるわけではなく、あなたの調理上の手落ち(過失行為)から生じた損害のうち、公平の原理からみて、社会的に相当(妥当)と認められる範囲の損害(相当因果関係)、わかり易く言い換えれば、あなたの過失行為から「通常生ずべき損害」(民法416条)に限って賠償すればよいと解されています。
 従って、参加者の一人が予定されていた翌日以降の旅行のキャンセル料金までは、相当の範囲を超えるものとして賠償の必要はないと考えられます。

 あとは食中毒症状の治療に要した費用(経済的負担)と食中毒で味わされた苦痛(精神的損害)の賠償問題ですが、重症の場合は別として、普通程度の軽い症状で済んだというケースであれば、参加者からその実情を聴き、意見を伺うなどした上で、あなたがバーベキュー費用を全額負担していたことも考慮に入れて適切に判断し、各参加者にお詫びのメッセージとお見舞の金品(心ばかりの)を届けることができれば、それで十分と思われます。  もともとあなたの善意で近隣住民の親睦を図る行事(パーフォーマンス)として実施された事柄なので、その結末で貴重な“絆”を損なうことがないよう、“賢い”対処と解決が望まれます。

夏期バイトでのトラブル

  大学が夏休みなので、夏の期間だけのバイトを始めました。すると、夏休みのほとんどにシフトを入れられてしまい、この日はどうしても休みたいと言ってもダメだと言われます。
 確かに募集要項には「夏休み期間に集中してたくさん稼ぎたい方」と書いてあり、日数が多くなることも予想していましたが、一方的にシフトを入れられることには納得できません。どうしたらいいですか。

 ご質問では、パートタイム労働契約が交渉中なのか、既に契約成立後の使用者の一方的強要なのか分かりませんが、とりあえず、質問を、バイト契約成立前と成立後の2つに分けてお答えしたいと思います。

 パートタイム労働契約交渉中の場合、まず自らの地位が勉学中の学生であること、今回は夏休み中のパート労働であることを前提に契約交渉して下さい。
 現に改正パートタイム労働法14条1項は、「事業主はパートタイム労働者を雇い入れるときは、実施する雇用管理の改善措置の内容について、説明しなければいけない。」と労働者の求めの有無にかかわらず、労働者に説明義務を課しているからです。そこでは、使用者とよく話し合って自己の学生労働者としての地位を確保しましょう。

 仮に既にパートタイム労働契約が成立している場合でも、事業主が要求する日時での労働参加が不可能な事情を十分話し合って(学生の地位からくる特殊事情や緊急性等)、要求を通して下さい。
 前記パートタイム労働法も16条で「パートタイム労働者からの相談に対応するための事業主による体制整備」の義務が新設されており、当該責任者と十分交渉して下さい。
 仮に募集要項に「夏休み期間に集中してたくさん稼ぎたい方」等の記載があったとしても、日数の多少、時期等の内容・条件は、パート労働者との具体的交渉、契約による合意にかかっており、使用者の一方的シフトの強要は許されません。
 事業主との交渉が一人で無理な場合等は、当該職場の労働組合、もしなければ最寄りのパートタイム労働者組合等を探して連絡して交渉することも重要になります。
 裁判闘争もかなり進展中ですが、多くの困難をかかえ成果を目指して闘っています。ご健闘を祈ります。

キャンプでのトラブル

 毎年、近所の子ども達を連れて夏にキャンプに行っています。
 今年もキャンプに出かけたのですが、その最中に1人の子どもふざけて遊んでいる時にケガをしてしまいました。
 すぐに病院に連れて行き、全治2か月と診断されたので、ご両親にもすぐに知らせたのですが、ケガをしたのは連れていった私の責任なので治療費を全額支払えと言われて困っています。どうしたらいいですか?

 ふざけて遊んでいる時のケガということですが、どのような状況で起こったケガなのか、キャンプをしていた場所で予想される危険が現実化してしまったのか、いつもふざけていて思いもよらない危ないことをしたりする子なのか、開放感から思わず弾みでケガをしまったのか、幾つ位のお子さんなのか、などによっても違ってきそうです。

 薪割りでふざけたとか、高いところから転落したとか、予想された危険が現実化したということだと、子どもたちを預かっている以上、そういう危ないことを避けるように子どもたちを指導する注意義務があったということになりそうです。
 いつもふざけて大人のいうこと聴かない子だったとすると、送り出したご両親が、そういうことがある子だと伝えていたかどうかで責任の内容が変わってくるかもしれません。ある程度自分で判断できる年齢の子であれば、引率者の責任の程度が小さくなることもあるでしょう。

 いずれにせよ、子どもたちがキャンプの開放感から、思いもよらない行動をしてしまいがちであることは予想して引率することがもとめられることにはなります。
 そんな場合に備えて、ボランティア保険、子供会保険、スポーツ安全保険といった保険もいろいろあるようですから、そういう保険に事前に入っておくと安心ですね。

旅行写真のトラブル

 夏休みに友人達と旅行に行ってきました。とても楽しんできたのですが、数日後に友人のSNSを見たら、私の顔が写った写真が掲載されていました。モザイクも何もなく、私だとはっきり分かります。
 私はネット上に自分の写真が載るのがイヤなので、自分のSNSにも絶対に載せません。なので、友人にも写真を削除してほしいと言ったのですが、自分のSNSなんだからいいでしょと言って消してくれません。
 どうにかして、友人に削除してもらうことはできませんか。

 「自己の容ぼうをみだりに撮影されたり使用されたりしない権利」のことを肖像権と言います。肖像権という権利を具体的に規定した法律はありませんが、個人の尊厳や幸福追求権を定めた憲法13条に基づく人格的利益として、判例上保護の対象とされています。
 ですから、原則として無断で自分の写真をSNSなどに掲載された場合には、削除を求めることもできますし、場合によっては慰謝料請求の対象になることもあります。
 ご友人が「自分のSNSなんだからいいでしょ」と言うのは、著作権や表現の自由(憲法21条)があるから削除しなくても問題ない、と考えているのかも知れません。しかし、それらの権利があっても他者の権利を侵害してよいということにはなりませんので、合理的な弁解にはなりません。
 もっとも、撮影された状況やご友人達との交友関係などから、SNSに掲載することについての黙示的な承諾があったとされるような場合や、はっきりと判別できる写真でもたまたま写り込んだに過ぎない写真などの場合には、削除を求めることが認められなかったり、極端な場合には権利の濫用に当たることもないとは言い切れません。
 いずれにせよ、友人同士なのですから、いきなり権利だ裁判だと大上段に構えるのではなく、まずは写真が掲載されていることで困惑していることを理解してもらうように努め、話合いで解決するのが望ましいと思われます。顔を隠すアプリなどもたくさんありますから、写真を加工して楽しむくらいのノリで話してみてはいかがでしょうか。
 それでもどうしても削除や修正に応じてもらえない場合には、弁護士などから文書で削除を求めてもらうことも効果的です。

車の貸し借りのトラブル

 夏の旅行のために、知人に車を借りたのですが、旅行中にぶつけてしまい傷をつけてしまいバンパーがへこんでしまいました。
 しかし、知人はもうすぐ車検なので買い替えると言っていましたし、謝って許してもらおうとお土産を持って車を返しに行きました。
 すると、知人は怒って修理代を全額払えと言ってきました。もうすぐ買い替えるのに修理代を支払えなんて、次の車の購入代金にあてるに決まっています。
 修理代を払う必要はないと思うのですが、払わなければいけませんか。

 事故に遭われたとのこと、あなたのお体は大丈夫でしょうか。
 さて、ご質問の件ですが、結論から言いますとあなたは修理代を支払う義務があります。
 民法709条は、今回の様な過失により他人に損害を与えた場合にも損害を賠償する義務が発生すると定めています。
 お知り合いが近々車を買い換える予定があることを問題視されているようですが、現にお知り合いが所有する車を壊してしまった以上、それによって現実に生じた損害を賠償する義務、すなわち修理代相当金額を支払う義務は当然負うことになるのです。その後お知り合いが新たに車を購入するかどうかはあくまで事後的な事情であり、それによって修理代を支払わなくてよくなるということはありません。
 仮に買い換えるとしても、その方は買い換えまでは車を事故で傷のついていない状態で使えるはずだったのにそれができなくなった、という点では損害を被っていることになるのです。
 なお、他人の車を運転した場合にも車両修理代を填補出来る保険もありますので、あなたが加入している自動車保険を確認してみては如何でしょうか。
 なにをおいても、お知り合いの方との今後の関係の為にも改めて謝罪をし、修理代金を支払う意思があることを伝えるのが先決でしょう。

パックツアーでのトラブル

 夏休みを利用して海外旅行に行きました。旅行会社のパックツアーを使って行ったのですが、同行者が迷子になってしばらくバスで待機させられたり、手違いで予約できていなかったからと予定していた豪華なレストランが庶民的なお店になったり、時間が推して観光地に行けなくなったりしてしまいました。せっかくの旅行なのに台無しにされたと思い、現地でも添乗員に苦情を申し入れましたが、添乗員すら日本語が下手でいまいち通じません。帰国してから再度旅行会社に連絡をし、パックツアー料金を返金してほしいと言いましたが、最終日まで旅行したし、現地での変更が有り得る旨は契約書に書いてあるとして応じてくれません。どうしても納得できないのですが、返金してもらうことは難しいでしょうか。

 パックツアー料金の全額返金は難しいと考えます。ただし、旅行会社に損害賠償請求を行うことで実質的には代金の返金をしてもらうことは可能でしょう。
 あなたと旅行会社は、旅行を行う前提として旅行契約を締結しています。その際、旅行会社とあなたが取り交わした契約書にどのような記載がされているかが重要になりますが、本件では契約書にどのような文言が記載されているかわからないので、一般的な考え方を述べておきます。

 まず、あなたと旅行会社は旅行契約を締結していますが、旅行契約が締結されると、旅行会社はあなたが申し込んだツアーを(完全に)履行することが必要となり、他方、あなたはそれに見合った金銭を支払うことが必要です。

 あなたが申し込んだツアーの内容が明らかではありませんが、ツアーの内容として豪華なレストランでの食事や今回時間がなくなって行くことができなかった観光地に行くことが決まっていたとしましょう。
 そして,旅行会社の過失(責任)によって,豪華なレストランではなく庶民的なお店になってしまった、観光地に行くことができなくなったのであれば、債務不履行責任(予定していたツアーが行えなくなった責任)として旅行会社に対し損害賠償請求を行うことが可能です。他方、旅行会社に過失が存在しない場合には、損害賠償請求することができません。
 損害の算出方法が難点ですが、豪華なレストランから庶民的なお店になったということであれば,豪華なレストラン代金として割り当てられていたツアーの金額から,庶民的なお店で支払った代金の差額分は請求できるでしょう。

 観光地に行けなくなったことは,財産的に評価することは難しいですが、ツアーにおける観光地の位置づけが重要となります。例えば観光地を大々的に押し出したツアーであれば,観光地に行けなかったことに対する損害は必然的に高く評価されると思いますし,ツアーの中での位置づけが低ければ,損害は低く評価されるでしょう。

 なお,旅行をできなくなったわけではないので、全額の返金は難しいでしょう。せっかく楽しみにしていたツアーが残念な結果になってしまいましたが、次回の旅行は、楽しい旅行になることを祈っています。