家賃不払い

私は所有する土地にアパートを建てて賃貸しているのですが、賃借人の一人が3か月連続で賃料の支払いを怠っています。どのような対策をすれば良いでしょうか。

 まず、契約書の記載はどのようになっているでしょうか。保証人を立てている場合には保証人からの回収を図ることも出来ます。
 もし回収が望めない場合、このまま賃料不払いの状態が続くと負担が大きくなるばかりなので、即座に契約解除に向けて動くべきでしょう。

賃貸借契約を結んだ際に敷金を預かっているのですが、そこから未払い賃料分を差し引くことはできますか。

 敷金は賃貸借契約が終了し建物が明け渡された段階で初めて未払い賃料等との清算が認められるものです。賃借人から建物を明け渡されていない段階で賃貸人が敷金から未払い賃料分を天引きすることは法律上許されません。
 賃料の不払いを理由に契約解除と明渡しを求める法的手続を進めることが必要です。

契約解除・明渡し請求

賃貸借契約の解除、建物明け渡しを実現するにはどのようなプロセスを踏む必要があるのでしょうか。

 賃料不払いを理由とした賃貸借契約の解除には少なくとも3か月以上の滞納の事実が必要とされています。また、解除の意思表示(内容証明郵便で行うのが一般的です)をしたからといってすぐに強制退去を実現できるものではなく、建物明け渡し及び未払い賃料等支払の裁判を起こして更に強制執行の手続を踏む必要があります。
 未払い賃料の損害を最小限に抑える為にも、早急に弁護士を通じた法的手続を踏む必要があります。

原状回復

賃貸借契約が終了した場合、建物の原状回復費用は賃貸人・賃借人のどちらが負担するべきなのでしょうか。

 冷蔵庫の設置による壁焼けやキャスター付き椅子の使用によるフローリングの傷など、通常の使用により汚損・破損したものについては賃貸人が費用を負担するものとされています。一般の賃貸借については東京都賃貸住宅トラブル防止ガイドラインが指針となり、同ガイドラインに反する特約を契約で結んでいたとしても原則無効となります。

家賃の増額請求

5年ほど住んでいるアパートの大家さんから、近隣の賃料相場も上がったため賃料を増額するとの通告があり、これが払えないのなら出て行ってもらうと言われました。私はこの申し出に応じなければならないのでしょうか。

 賃料の増額を持ちかけられたからといってかならず応じなければならないわけではありません。増額を求めているのは大家さんですから、大家さんの方から賃料増額の民事調停を起こす必要があります。従前の賃料を大家さんが受け取らない、という場合には供託という手続をとればきちんと賃料を支払ったことになりますので、賃料不払いを理由に契約を解除されることもありません。なお、調停がまとまらなければ裁判の手続に進むことになります。いずれにせよ、裁判手続に進めば個人で対応することは困難になりますので、ご相談されることをお進めします。

老朽アパートの建て替え

長年所有アパートの賃貸を続けてきましたが、老朽化が進んできたため建て替えをしたいと考えています。今の入居者はいずれもあと1年以内に賃貸借期間が満了しますが、期間満了時に出て行ってもらうことはできますでしょうか。

 期間を定めた賃貸借契約を終了させる場合、期間満了の1年前から6箇月前の間に賃借人に対して契約を更新しない旨の通知をする必要があります。この通知をした場合も、かならず退去させられるわけではなく、契約を更新しない正当な事由が必要となります。
 建物の老朽化だけで正当な事由が認められるケースは稀であり、立ち退き料を支払わなければならない場合が大半です。立ち退き料の適正額も基準額があるわけではなく近隣の事情なども踏まえて交渉で決定するか、決裂した場合には裁判の手続で決することになります。