弁護士 金井 清吉

 表題の文書は、朝日新聞5月23日の朝刊社会面の記事である。

 何でも厚労省が2020年の平均寿命を市区町村別に調べたところ、川崎市麻生区が男女ともに全国1位で、男性は84.0歳、女性は89.2歳であると報じられた。要因として「住民が指摘するのが、何処に行っても坂道ばかり。足腰が鍛えられて健康な人が多いのかも。」とある。(因みに下位の1位は男女とも大阪市西成区で、男性73.2歳、女性84.9歳である。)

 麻生区は小田急線の「新百合ヶ丘駅」を中心とした地域で、一つ先の駅が「柿生」であって、私の電車乗降駅である。私の自宅は町田市であるが、50メートル先は川崎市麻生区である。この辺りは古くは山林田畑が多く、禅寺丸という甘柿の原木が「王禅寺」という古刹に今も残っている。私がこの地に引越して来る直前まで、小学校の分校が残っていたらしい。
 文化面では、作家遠藤周作が狐狸庵を構え、近くには白洲次郎・正子の「武相荘」があり、歌人の馬場あき子氏邸も私の家のすぐ近くである。

 柿生は先の大戦の終末時には、昭和天皇の疎開先の候補地の一つだった。今は春には柿生川堤にある桜並木が目を楽しませる。私は毎日駅までの坂道の上り下りを繰り返しており、おかげで今歩くことに支障はない。