弁護士 渕上 隆

 昨年のプロ野球は村上選手の活躍もあり、東京ヤクルトスワローズがリーグ2連覇を果たし、長年のファンとしては嬉しい限りでしたが、そのスワローズの本拠地・神宮球場が取り壊しの危機にあることをご存じでしょうか?
 進められている神宮外苑再開発計画は神宮球場とこれに隣接する秩父宮ラグビー場を解体し、場所を入れ替え、3棟の高層ビルを建設するというもの。ラグビー場は他のイベントにも活用できるよう屋根付きの人工芝にするとのこと。樹齢100年超の巨木を含む樹木の大量伐採も予定されており、それに伴う気温上昇が懸念され、また、名物の銀杏並木の保全も不安視されています。
 神宮球場は大学野球・プロ野球の名勝負の舞台となった100年の歴史を誇る文化財であり、秩父宮ラグビー場も数少ないラグビー専用グラウンドとして愛されてきたラグビーの聖地です。これらを解体し、歴史的にも貴重な樹木を伐採して高層ビルを建てる意味がどこにあるのでしょうか?計画の見直しを求めるネット署名も立ち上がり、多くの賛同者を集めています。歴史的文化財と豊かな緑、そして青空、このかけがえのない景観を破壊する愚行には強く反対します。