弁護士 江森 民夫

東京会場の東京国立近代美術館

 「鏑木清方展」に行ってきました。

 鏑木清方は美人画家と呼ばれ、この展覧会でも、「築地明石町」などの美人画が売り物になっていました。しかしこの展覧会では清方の多面的な内容の絵画が展示されていました。
 そしてこの展覧会の図録の解説は、清方が「需もとめられて画く場合いわゆる美人画が多いけれども、自分の興味を置くところは生活にある。それも中層以下の階級の生活に最も惹かるる。」と書いていることを紹介しています。
 たしかに、展示された「鰯」「明治風俗十二ケ月」などを見ると、庶民生活の手触りが感じられます。この解説は、最後に「そろそろ清方を『生活を描いた画家』として推してはどうだろうか。」と結んでいますが至極同感です。

 なお清方は「築地明石町」についても、「築地近くで育った私の少年期の感興から自ずとなったので、生活の一断面と言えます。」と述べており、単なる「美人画」でないことが分かります。

 やや一面的な感想かもしれませんが、清方の日本画の新たな見方を学ばせてもらいました。