弁護士 菅沼 友子

 駅から自宅に歩いて帰る途中、いつも公園脇の植え込みをのぞき見る。顔なじみ(?)のネコたちの姿を見つけると、どこかの動物写真家のように「いい子だね~。」と猫なで声を出してしまう。声に反応してこちらを見てくれると何だか嬉しくなる。私と同じような行動をしている人を見かけることもしばしばあり、ネコたちは地域の癒しになっている。
 そんなネコたちの耳にV字様の切れ込みがあることに、しばらく前に気がついた。それが地域猫保護に取り組んでいる人たちに一旦捕獲され、不妊・去勢手術をされたことの目印であることを知ったのはつい最近。そのようなネコが「さくらねこ」と呼ばれていることも。
 命あるものとの関わりは喜びや癒しをもたらしてくれる。そして、その小さな命は人々の地道な努力によって支えられている。さくらの花びらの形をした耳をなでながら少し目の奥が熱くなった。