弁護士 長谷川 弥生

 20年ほど前、プラハ、ブルノ、ブタペスト、と一人旅をしました。チェコの作家ミラン・クンデラを辿る旅でした。プラハ市内で数日過ごしたあと、列車に揺られモラヴィア地方のブルノへ。鉄道は、冬のヨーロッパの灰色の空の下を走り、車内も薄暗く寒かったのですが、コンパートメントに入るときはドブリーヴェチェル、降りる前にはナスフレダノウと言って出ていく人々に温かさを感じました。ブルノには、モダニズム建築で有名なトゥーゲントハット邸があり、人々に道を聞きながらなんとか着くには着いたのですが、邸内ツアー時間外で中に入れませんでした。最後のブタペストは、陸路で国境を越えてみたくて付け足し(とはいえ満喫しました)。

 写真は、いつも旅行に持参して雑感をつづっていたノートです。飛行機代の安い冬にばかり旅行していたので、やたら「寒い」と出てきます。

 今は思い出を振り返るだけですが、また旅行できるようになったら、今度こそトゥーゲントハット邸の中に入りたいと思います。