弁護士 渕上 隆

 5歳から20年以上の間、東京の北端の80棟ある大規模団地で過ごしました。しかし、時が流れるに従い、住民の高齢化と建物の老朽化が進みました。小学校、中学校の友人はほとんどがその団地に住んでいましたが、成人するとその地を離れ、皆ちりぢりになっていてその友人たちと集まる機会はほとんどありません。10年前には、私が住んでいた棟を含む30棟ほどの住民を他の棟の空き室に移動、集約させることとなり、建物は取り壊されました。千数百世帯が暮らし、公園も集会所もあった一帯が広大な更地に変貌したのをみて、不思議な気持ちになりました。
 昨年4月、その場所に、ある大学のキャンパスが開設されました。緑にあふれ、立派な図書館棟が建ち、テニスコート等もあって過ごしやすそうです。思い出のある地でしたが、大学生の学びの場に生まれ変わったのをみて、少し明るい気持ちになりました。