鶴川高校は、東京都町田市にある女子高校です。1993年に教職員は労働組合を結成して以降、学校法人より執拗な組合攻撃が繰り返され、裁判や労働委員会の手続きによりこれらの攻撃とたたかってきました。これまでも本誌で事件の内容を紹介してきましたが、今回紹介するのは、1年契約の常勤講師のA先生の雇い止めの事件です。
A先生は1991年4月に鶴川高校の1年契約の常勤講師に採用され、2017年度末まで毎年契約が更新されていました。この間A先生は、常勤講師の専任化や労働条件改善のため組合結成に参加し積極的に組合活動を行ってきました。
ところで労働契約法18条が改正され、期間の定めのある労働者について労働契約法施行から5年を超えて契約更新をした場合、期間の定めのない労働者への転換を申し込むことができることになり(無期転換権)、A先生は、2018年の3月に契約更新が行われれば無期転換が可能となることになりました。ところが学校法人は、2018年3月の契約更新を拒絶しました。
A先生は東京地裁に提訴し、東京地裁は、「本件雇止めは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない」「本件組合の中心的構成員である原告を嫌悪し、原告の無期転換権行使前に鶴川高校から排除することを目的としてした一連の行為であって」と判断し、雇い止めは違法であり常勤講師の地位が認められるとの判決を言い渡しました。組合攻撃としての無期転換権行使前の雇止めは許されないという裁判所の判断は、今後の組合運動の力になるでしょう。
なお学校法人が控訴しましたので舞台は東京高裁に移っています。