弁護士 村山 裕

昨年の通常国会で成立した「働き方改革」の一環として、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」に向けた、使用者への義務付けがこの4月から始まっています。

労働条件の最低基準を定める労働基準法では、半年勤務時の10日から、継続勤務年数に応じ20日までの年次有給休暇日数が法定されています。この10日以上付与される方について、自ら請求・取得する年次有給休暇や労使協定に基づく計画年休を含めて年5日に達しない場合に、使用者が個別に不足日数を時季指定して5日以上確実に取得をさせることを義務付け、違反への罰金規定も設けられました。

事情に応じ多様な働き方を選択できる社会実現に向け、リフレッシュに資する年次有給休暇の取得促進として、取得率5割前後の現状を7割にとの目標のようですが、「5日以上確実に取得」程度で達成できるのでしょうか。取得率が低いのは、仕事の調整困難や同僚への気兼ねが言われますが、病気休暇制度が未整備で病休に備えるなどの事情もあるようです。

ゴールデンウィークの谷間などで計画年休や時季指定を行って長期休暇を、のキャンペーンもありました。しかし、一斉だと今年の10連休のようにどこも混雑で、リフレッシュにはなりそうもありません。

今年は、日本も創設に参加した国際労働機関(ILO)設立100周年。我が国は未批准ですが、1970年のILO有給休暇条約は、1年勤務で、国民の休日などを含まない3労働週間、そのうち2労働週間は連続での有給休暇を最低保障として求めています。リフレッシュをいうなら、このくらいほしいですよね。最低賃金の引き上げが不可欠になりますが…。