配偶者の影響もあり、急に映画を観る機会が増えました。その映画のことを書きます。

 ベルリン・フィルは、1882年に創設された、世界のトップレベルのオーケストラですが、1933年からナチスの支援を受けたため、プロパガンダに利用されました。

 ベルリン・フィルは125周年にあたり、多くの団員が当時何を感じどう選択したかを明らかにし、過去をしっかり直視するために、この映画を作成したのです。

 この映画作成のため、2人の当時の団員の取材、追われたユダヤ人団員4名の探索・取材、団員の家族の探索・取材等に、3年の時間を要したそうです。映画は、ナチスの宣伝大臣ゲッベルスの演説の後に演奏するベルリン・フィル等の過去の映像と、関係者のインタビュー映像が続くもので、内容は非常に濃いものです。

 この映画は、ベルリン・フィルの125周年の式典で上映されました。過去の事実を明らかにし、その意味をねばり強く探求する、ベルリン・フィルの姿勢には、本当に感動しました。

 またこの映画は、戦前のベルリン・フィルの活動を単純に弾劾するというものではなく、団員達の苦悩と反省を、その人の言葉として語ってもらい、過去を見つめています。映画の最後の部分で、当時のコンサートマスターで96歳の元団員が「私たちはこれまで何をしてきたのだろう」と、涙を流しながら述懐しています。

 色々な意味で、感動し考えさせられた映画で、つい2回も観てしまいました。