弁護士 船江理佳

 
 「裁判員制度」がいよいよ来年5月21日からスタートします。

 ご存じの方も多いと思いますが、「裁判員制度」とは、国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度です。

 国民が刑事裁判に参加することにより、裁判の内容や手続に国民の良識が反映されるとともに、司法に対する国民の理解が深まって、その信頼が高まることが期待されています。

 「裁判員制度」が導入されるのは、地方裁判所で行われる刑事裁判で、対象事件は一定の重大な犯罪(例えば、殺人罪や強盗致死傷罪、危険運転致死罪など)です。

 では、裁判員には誰がどうやって選ばれるのでしょう。

 まず、20歳以上の有権者が無作為に裁判員に選出され、その年の12月頃に翌年1年間裁判員に選出される可能性がある旨の通知がされます。年が明けて、事件ごとに裁判員候補者の中からくじで候補者が絞り込まれて「呼出状」が送付されます(原則、裁判の6週間前まで)。そして、裁判の当日の選任手続で最終的に裁判員6人が選出されることになります。

 「裁判員制度」は、特定の職業や立場に偏らずに、広く国民が参加してその良識を裁判に反映させる制度なので、原則として辞退はできません。もっとも、国民の負担が過重にならないようにとの配慮等から、法律や政令で辞退事由が定められており、裁判所からそのような事情にあたると認められた場合、辞退することができるようになっています。

 新しい制度であることから、戸惑いや不安、疑問もあると思います。ここでは紙面の都合上詳しくご説明できませんが、最高裁判所のホームページ等をご覧になってみて下さい。裁判員制度の仕組みや辞退できる場合等が詳しく解説されています。