現在国会には、「労働基準法の改正案」や「労働契約法案」など重要な労働立法が提案され審議されています。

 労働法による法規制をめぐり、「規制緩和」を叫ぶ声が一方で強くなってきており、今回の労働立法もこういった動きの中で理解する必要があります。

 最近の新聞報道等を見ると、雇用関係を規制する法律があるため、正規雇用労働者の雇用意欲がそがれ正規雇用労働者の雇用拡大の阻害要因となっている、などという議論が横行しています。しかしわが国の労働者のおかれた現状を見た場合こうした議論が誤りであることは明らかです。多くの正規雇用労働者が無定量の残業を行い、その生活の殆どを企業に捧げているというのが現実なのです。

 今回の労働基準法の労働時間に関する規定の改正案の検討の過程で、ホワイトカラーエグゼンプションといって、一定の労働者について労働時間規制をなくし、残業代を支払わなくてもすむような制度の導入等も検討され大きな問題となりました。しかし多くの批判の中でこの制度の提案は今回行われていません。そして、今回出された法案を見ると、残業の割増賃金率の引き上げによる残業の抑制といううたい文句であるのに、実際割増率の増加を義務づけられるのは月80時間以上というものであり、尻抜け立法といえます。

 また労働契約法案の検討過程の中で、労働条件の不利益変更を就業規則改正により簡単にできるようにすること、違法な解雇をした場合も金銭を支払うことにより職場復帰をしなくてもすむような制度を導入すること等の制度の検討も行われました。これも多くの批判の中で、立法案からは消えました。しかし今回の「労働契約法案」を見ますと、あいかわらず使用者が一方的に決める就業規則によって労働条件の決定・変更を行うという原則がつらぬかれており、重大な問題を含む法案となっています。

 ディーセントワーク(人間らしい労働)ということが国際的に問題になっている中で、こうした労働を保障できる実効のある法律の制定が必要とされています。