弁護士 井澤光朗

 
 いよいよ平成21年から裁判員制度がスタートします。後2年弱ということになりました。

 裁判員制度については最近新聞等でも報道がなされているので、多くの方はおわかりだと思いますが、簡単に概略を説明させていただくと選挙人名簿に基づき裁判員候補者が選定され、その中から裁判員が選ばれます。そして、刑事事件の重大な事件について裁判官3人と裁判員6人で審理をし、有罪、無罪だけでなく量刑も判断することになっています。裁判官、裁判員とで意見が分かれた場合には過半数によって決せられますが、裁判官、裁判員が全員違う意見の場合には決着はつけられません。

 この裁判員制度の導入によって、これまでの刑事裁判と違う点ですが、まずは、一般の市民が裁判に関与し、判断をしていくということです。次に裁判員を審理中拘束することから集中審理が実施されます。この二つの違いから、一般市民が裁判官の意見に左右されずに自分の判断ができるのか、また、集中審理ということで、拙速な裁判にならないかなどの疑問が出されています。刑事裁判において、裁判を受ける被告人が納得できる裁判でなければならないことは基本であると思われます。

 ところで、この制度が有効に活用されるには、この他にもいろいろな改善点、問題点は多々存するとは思いますが、市民による市民の感覚での裁判、市民の司法への参加という意味でも市民の自覚、市民の積極的な姿勢が最も重要な要素だと思われます。私は裁判ウォッチングの運動に長く携わり、そこでの市民の姿勢や、これまでにもあった市民が参加する検察審査会にかかわった市民の姿勢などをみると、十分に有効に活用される可能性はあると思っています。しかし、そのためにも制度発足後の検証、点検、改善を怠らないための市民の監視はより一層重要になっていると思われます。