私は若い頃から色々なことに興味をもってきましたが、思うように物が買えなかったことから、雑誌を読んでその飢えを癒していたような感じがします。

 小学校時代は鉄道模型にひかれ「模型と工作」などという雑誌を読み、大きくなったら部屋全体のレイアウトを作りたいなどと思っていました。中学校に入り、オートバイに興味を持ち「モーターサイクリスト」という雑誌を読み、大きくなったらあこがれの大型オートバイを買おうなどと思っていました。私の通っていた中学校にはオーケストラの楽器が揃っており、私はバイオリンとクラリネットをやっていました。高校に行くと、ジャズに興味を持ちましたが、「スイングジャーナル」という雑誌を読み、大きくなったら立派なステレオとたくさんのレコードを買おうなどと思っていました。

 しかしいざ大人になっても毎日忙しい生活を送り毎晩飲み歩くという生活で、こうした望みなど忘れていました。しかし数年前から多少生活態度を改めた結果、若き日の願望を実現する「蒐集癖」がはじまりました。

 例えばモダンジャズに深くはまり、植草甚一という有名な評論家の評論をまとめた「スクラップブック」という本の蒐集がはじまりました。そしてその後、ジャズピアニストのビル・エバンスをひさしぶりに聞いたことがきっかけで、あらゆる音楽のCDの蒐集が始まりした。一方鉄道模型の願望とオートバイの願望の反映か、鉄道のチョロQやミニカーなどを見ると集めるようになり、本箱の棚において楽しんでいます。

 さらに時代小説家である、「池波正太郎」「藤沢周平」にはまりました。この二人は、書いた小説の多いこと、またこの二人に関する書籍が多いことが共通しています。この二人の書籍の蒐集も始まりました。その関係で古本屋通いが多くなり、興味をもった本を次から次へと買うようになりました。

 かくして私の書斎には、本とCDが積み重なり足の踏み場がなくなってしまいました。この「蒐集癖」、どうしたら直るでしょうか。