全く知らない会社からダイレクト・メールが送られて来たり、セールスの電話がかかってきたりして、不愉快な思いをしたことは誰でも経験があるでしょう。どうして自分の住所や電話番号をその会社が知っているのか、自分の個人的な情報が流れてしまっていることに不安になったこともあると思います。

 このような個人情報の適切な取扱いをはかり、個人の権利や利益を守ることを目的とする個人情報保護法が2005年4月1日に全面施行されました。その概要は以下のとおりです。

 まず、保護の対象となるのは「特定の個人を識別できる情報」で、名前や電話番号、住所等のほか、メールアドレスやID番号なども対象となりえます。社員の情報なども個人情報になります。この法律による規制を受けるのは、個人情報データベース等を事業のために使っている民間事業者(ただし、過去6ヶ月継続して5000人以下の個人データしか持っていない者を除く)です。

 そのような事業者は、

  1.  あらかじめ利用目的をできる限り特定し、その範囲内でのみ個人情報を取り扱う。
  2.  個人情報は適正な方法で取得する。
  3.  取得時に本人に対して利用目的の通知・公表を行う。
  4.  個人データを正確かつ最新の内容に保つよう努める。
  5.  取り扱う個人データの漏洩、滅失等の防止などの安全管理措置。従業員・委託業者の監督。
  6.  あらかじめ本人の同意をえなければ第三者に個人データを提供してはならない。
  7.  保有個人データについて、利用目的などを本人の知りうる状態におき、本人の求めに応じて開示・訂正・利用停止等を行う。
  8.  苦情に対する適切かつ迅速な処理。そのための体制の整備。

などの義務を課されることになりました。事業者がこれらに違反した場合には主務大臣から違反是正のための勧告・命令等を受けることがありますし、また、その命令に違反した場合等には罰金に処せられることもあります。

 知らない業者からのセールス電話などを受けた時には、電話番号や氏名等の情報の入手方法を責任者に確認し、その業者や情報を提供した事業者に個人情報の利用停止等の措置を求めるなど、この法律を活用して自分の個人情報を自ら守ることを考えてみてはいかがでしょうか。