弁護士の雑記帳 – 東京中央法律事務所

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舞台裏

 

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最近、色々な舞台裏が見えてしまうことが続いていますね。

フジテレビと産経新聞社の合同世論調査で不正が見つかったこと、選挙に強いと言われてきた自由民主党の選挙活動は、要するに金を配ることで成り立っていたこと、政府の施策が事実上大手広告代理店に丸投げされて、下請け、孫請けと引き継がれていくうちに、事業本体に使われる予算はほんの一握りだったこと、不正をただすべく法に基づいて捜査、訴追を行うはずの検察庁のナンバー2が賭け麻雀の常習者であったこと、その余人をもって代えがたいはずの人事もあっさりと後任が決まったこと、コロナ禍の自粛期間を通じて、不要不急と思われていたものが人間らしい生活を作り出していたこと、「痛勤」に耐えて出勤することが少なからず非効率であったこと。
数え上げたらキリがありません。

本当の芝居ならば、舞台裏が見えても、それをあげつらうのは無粋、野暮というもの。歌舞伎や人形浄瑠璃の黒衣が見えたからといって、「あっ、何だ、あんなところでコソコソやってんだ?」なんて言い出すやつがいたら、きっとつまみ出されることでしょう。

しかし、上に上げた例は、どれも見て見ぬ振りをするわけにはいかない舞台裏ばかりです。

黒衣ははじめから姿が見えることを前提に舞台に上がりますが、馬の足を演じる役者は頭を出してはいけません。馬脚をあらわす、とは正にこのことです。

それでも、
「世論調査なんて、所詮そんなもの。本気にする方がどうかしてるんだ。」
「選挙で金がばらまかれたからって、今さら、そんなこと驚いてどうするんだ。世の中きれい事ばかりじゃないよ。」
「元請け、下請け、孫請けとお金が流れていって、そうやって経済は回ってるんだ。ビジネスってそういうことだろ。」
「賭け麻雀なんて、みんなやってんだろ。どんな立場でも同じ人間。そのくらいで目くじら立てるなよ。」
「美術館やコンサートホールが閉まったからって、そんなもの無くたって人は生きていけるさ。」
「仕事は多かれ少なかれ辛いもの。満員電車に揺られるくらいで音を上げてるようじゃ、この先やっていけないよ。」
なんていう冷笑系の批判も聞こえてきそうですが、こういうのなんて言ったらいいんでしょうか。開き直りなんでしょうかね。
開き直る態度の本音は責任転嫁か責任逃れでしょうから、どうぞ舞台裏にお下がりください。


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