弁護士 加納 力

郊外の我が家の文字通り猫の額ほどの庭に小さな文旦の樹が植わっていて、初めの頃は枝ばかり伸びて花も咲かなかったのですが、ここ数年は毎年百を優に超える実がなるまでになりました。

日当たりが今ひとつのせいか、追熟させても酸っぱすぎるのが困ったところ。とても人様に差し上げられるような代物でもないので、口をすぼませながらせっせと自家消費してビタミンを補給していますが、前の冬からは新しいお客様がやってくるようになりました。

小さな実を輪切りにして別の木の枝に刺しておくと、ヒヨドリやメジロが入れ替わり立ち替わりやってきて、あの酸っぱい実をつついていくのです。

こうなればしめたもの。彼ら(彼女ら?)にもどんどん消費してもらおうと、日々新しい実を用意しておくのですが、ある日ぱたりと客足が遠のきます。どうやら晩春までの期間限定のようです。

この冬もまた支度しておかなければいけません。