[特集 平成の思い出]

弁護士 金井清吉

 平成10年は長野冬季オリンピック開催の年でしたし、応援していた「横浜」が優勝した年でもあります。事務所をみれば、この年の事務所旅行には、南紀巡りをして、多くの所員が夫婦同伴で参加し、台風に遭ったりしましたがそれが刺激的で十分旅行を楽しみ、K弁護士がN女史と婚約・結婚した年でもあります。

 個人的には、まだ私も50代半ばですから、この頃は仕事も脂ものり忙しい毎日を過ごしており、扱う事件も多く、北は八戸から南は福岡まで出張で家を明けることも多かったと思います。日弁連の「刑事弁護委員会」(副委員長・国選担当)で当時大蔵省や最高裁の局長に会い陳情を重ねたこと、また付き合いの旅行も多数で、南は下関・秋吉台・宮島から北は乳頭温泉の黒湯や鶴の湯に行っており、夏の事件合宿では岩手県の碁石海岸・陸前高田の喧嘩七夕などを見物しておりますが、しかしあの大津波で今やすっかり変化して昔の面影もないと思うと寂しい限りです。

 この頃妻も勿論元気で、未だ若く40代であったから俳優Tの「追っかけ」に熱を上げ、大阪まで押しかけ、浴衣地を頂戴してきたと有頂天になっていました。その仲間との情報交換なども銀座の喫茶店で1日がかりで行ったり、私が寝た後には、ビデオを見てはときめいていました。この妻も残念ながら今やいません。その後の20年の時間の経過は残酷でもあり、忘れさせて今を幸せにさせる時間でもあります。さて今年は年号も変わり、どんなことが身辺に生じるか、今度はゆっくりと楽しみましょうか。