長野の棚田で田植えをしました。会費制の「体験オーナー」とかで、草取り・稲刈りなども体験して30kg程の収穫をもらいます。効率的農作業に向かない棚田を維持し、ついでに「村おこし」も、という近頃流行りの企画です。

 棚田の高台からはアルプスの山々が見渡せ、梅雨の晴れ間の太陽に暖められた水田には、青蛙やヤモリが泳ぎ、泥に足を取られながらも、心地よい汗をかきました。

 谷筋の上の尾根に隠れた辺りにまで棚田の跡は延々と続くそうですが、今は、全くの藪で見る影もありません。猪が出たり、減反政策でも採算が合わなくなったりで、放棄されたようです。地元の方が、牛を放牧して藪を食べさせ、棚田を復活させる計画を、楽しそうに話してくれました。

 日本では、コメの自由化・減反政策で、穀物自給率は3割を切っています。地球温暖化対策でバイオ燃料への転換が唱えられ、主要穀物が高騰し、輸出規制国が出たり投機対象として買い占められ、緊急の「食料サミット」が国際社会の協調行動を求めるほどの「食料危機」が起こっています。

 規制緩和の「新自由主義」政策は、密室で政策を決め、誰が責任を負うのか判らない傾向があります。

 そうした中、「減反政策」を止めて米価を下げる話の一方、既定方針どおりの減反強化も伝えられています。物価高に悩む消費者は何を支持するのでしょうか。棚田を復活させようという農業関係者の努力はどうなるのでしょうか。

 温泉で汗を流し、普段使わない筋肉の疲れをほぐし、美味しい蕎麦を味わい、ビールを飲みながら、どこかおかしいと考えるのは心配症だからでしょうか。