昨年初め、私は、家裁からある兄、妹(以下兄をA、妹をBという)の成年後見人に選任された。この兄妹はいずれも知的障害者である。ABの家族は、ABと父(甲)とそれにBの子で18歳のbの4人である。

 当初この申立てを私が依頼されたのは、父甲が銀行から資金を借りてマンションを建築するため、銀行が将来相続人ABの「連帯保証」を求めたためである。しかし家庭裁判所は、ABが「連帯保証」になることを許可しないということで、単に父が70歳のため、予め成年後見を選んで置くということになったのである。しかしBの成年後見が開始されると今度は、bの親権者がなくなるから、その選任が必要になった。当初はbの祖父甲を候補者として、未成年後見人の申立てをしたが、急に甲も病気入院することになり、結局これも私がbの未成年後見人とならざるを得なかった。
 即ち、私が甲、A、B、b一家の全員の面倒を見ることになったのである。甲は病院、Aはグループホーム、Bは施設、bは児童学園ということで、この一家はバラバラである。成年後見人たる私が、まさか甲一家全員の生活の世話をする羽目になるとは、思いもよらないことであった。幸い甲の弟が近くに住んでおり、甲の病院の世話はお願いできたので、ホッとしているが、後見人としては、近い将来A、Bを何処に住まわせ誰が面倒見るか、18歳のb(専門学校入学予定)の住むところと今後の生活、と問題は次々と起こってくる。こんなに大変なこととは想像しなかったことである。障害者政策の問題も見えてくる。しかし、これも今までの弁護士業の集大成として、この一家の世話をせよとの運命と考え、出来る限りの力を注ごうとおもっている。

 今年は、自分の健康に気を回して、のんびり出来る時間は取れそうにない。