
2024年3月、最高裁は、犯罪被害者等給付金支給法(犯給法)に基づく給付金の支給対象となる「事実婚」には同性パートナーも含まれるという判断を示しました。この最高裁判決を受けて、政府は同様の規定のある153の法令を検討し、昨年9月までに犯給法を含む33法令について同性パートナーも対象に「含まれ得る」という取りまとめを公表しました。逆に言うと、120法令ではこれを否定したものです。
上記の最高裁判決の後、いわゆる同性婚訴訟(同性の法律婚を認めない民法などの規定は憲法に違反するとして国に賠償を求める訴訟)では、係属する5つの高等裁判所すべてで違憲判決が出るに至っています(最初の札幌高裁判決は上記最高裁判決の直前です)。
裁判所が同性パートナーに法律婚の道がないのは憲法違反だとする一方で、同性パートナーを事実婚とさえ認めない法制度が残るのはいかにも辻褄が合いません。政府の解釈や取り扱いを見直すだけでは、いびつな状況が続くばかりで、当事者から見れば不合理な差別です。やはり法改正による解決が必要になります。
法律や制度について司法府が判断を示し、行政府や立法府がこれを是正するという、三権分立の典型的な場面ですが、現実には行政府や立法府の抵抗があるのも事実です。今回の同性パートナーの問題ばかりでなく、国会議員定数是正訴訟もしかり、いわゆる袴田事件を受けての再審法整備に関する議論しかり、違法性を繰り返し認定されながら抜本的な改善策や救済策が講じられない軍用空港騒音訴訟しかり。司法が軽視されるのは法治国家の名に悖ると言わざるを得ません。


