弁護士 金井 清吉

 ある県知事の部下が、知事の問題行為を公益通報したら、逆に通報者捜しをされた上に通報者のプライベ-ト情報が公表されたあげく、懲戒処分を受け自殺した痛ましい事件が世の耳目を集めている。これを受けて国会で公益通報者保護法の改正が可決された。公益通報者捜しを原則禁じ、解雇や懲戒を行った者らに刑事罰を科すことになった。ただそれ以外の「不利益処分」を行った者には刑罰はない。現在は裁判等で「配置転換」の事由が広く認められているため、この不利益処分が実に多い。これをも対象にしなければ実効性に乏しいと思う。