弁護士 加藤 文也

 本年は、戦後80年の節目の年にあたりますが、今世界は、戦後の国際秩序の基本原則となった国連憲章体制自体、危機的状況に陥る深刻な事態になっています。
 2023年10月のハマス主導による奇襲攻撃を端に、ネタニヤフ政権下で続いているイスラエル軍によるガザ攻撃は、現在も深刻な人道被害を及ぼしております。
 が、本年6月4日、アメリカ一国が拒否権を発動したため、国連安全保障理事会は、パレスチナ自治区ガザで、「即時,無条件、恒久的な停戦」を求める決議案を再度否決しました。
 その直後の6月13日、イスラエルは、イランの核施設を含む多くの箇所を攻撃し、さらに6月22日、アメリカがイランの核施設を空爆しました。これらの行為は明確な国連憲章違反です。
 今年は、パレスチナとの共存を模索したラビン元首相が兇弾に倒れてから30年になりますが、現在、イスラエル軍がガザの住民を根こそぎ排除しようとして行っていることも明確な国際法違反です。
 先の大戦で唯一の被爆国となり、憲法9条をもち、国連憲章の系譜に連なる日本国憲法前文で「全世界の国民が、…平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」との規定を有する国民の一人として、ガザを含む全世界の人々の平和的生存権保障を願わずにはおれません。(2025.6.26記)