小学6年の息子が、同級生に体当たりして突き飛ばし、尻餅をつかせ打身の青アザができてしまって先生に叱られ、それから学校に行かなくなっています。本人の話を聴くと、その子が、呼ばれたくないあだ名でしつこく言ってきて、他の子も面白がって集まってきたりしたので、止めさせようとして、思わず突き飛ばしたというのです。息子に対するいじめじゃないかと思うのですが、学校の姿勢がはっきりしません。不登校が続きそうで心配です。
回答者:弁護士 村山 裕
学校でのいじめについて、いじめ防止法は「心理的・物理的な影響を与える行為」で相手が「心身の苦痛を感じている」ものとしています。これは、社会一般に酷いいじめとして非難されるのより広い捉え方ですが、学校が早めに気づき、苦痛を感じている子の支援や苦痛を与える行為をした子の指導をして、いじめ被害が広がることを防ぐためと考えられます。
この法律からは、同級生がお子さんの嫌がるあだ名でしつこく呼びかけるのはいじめといえますが、お子さんについても、理由はどうあれ同級生を突き飛ばしてアザを作ってしまうような体当たりはいじめに当たります。お子さんが叱られたのは、突き飛ばしたいじめへの指導ということになりますが、その背景事情の聴き取りまではできなかったようですね。
学校は、いじめの疑いの申し出があれば、その有無を確認して支援や指導をすることになっていますが、いじめにより①生命・身体・財産上の重大な被害が生じたり、②不登校が30日程度以上続いた疑いがある場合は、重大事態として、事実の全容解明の調査をして再発防止を図っていくことになっています。この重大事態調査は、学校あるいは教育委員会が、事案に応じて第三者専門家の参加を求めて行うことになっています。特に、②の不登校重大事態の場合は、不登校の具体的状況を確認し、学校復帰の可能性も模索しながら進められていきます。
ですので、学校に、お子さんが、嫌な思いをしてきたことを伝え、どうしたら安心して学校に行けそうかなど、その意向を尊重しながら、いじめによる不登校がお子さんの学習権保障や社会的な自立を損なわずに済む道を探りつつの調査を求めていくと良いでしょう。学校が動かないようでしたら、子どもの権利に詳しい弁護士に相談してみることもお勧めします。